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フレキシブルOLED市場、新たな用途で成長加速へ2020年は180億ドル規模に

フレキシブル有機ELディスプレイ(OLED)市場で、新たなチャンスが生まれようとしている。市場調査会社の予測によると、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)向けウェアラブル機器などを中心に、2016〜2020年にかけて大きく成長するとみられている。

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2020年には180億米ドル規模に

 英国の市場調査会社であるIDTechEx Researchが発表した最新レポート「OLED Display Forecasts 2016-2026: The Rise of Plastic and Flexible Displays(2016〜2026年の有機ELディスプレイ市場予測:プラスチック/フレキシブル有機ELディスプレイの台頭)」によると、2016年の同市場規模は約20億米ドルに達し、2020年には180億米ドル規模に拡大する見込みだという。

 有機ELディスプレイの2大主要メーカーであるSamsung DisplayとLG Displayは、いずれも生産能力を拡大するための大規模な投資を発表している。Samsung Displayは、2015〜2017年の間に30億米ドルを投じて、新しい製造ラインを建設する予定だという。また、ライバル企業であるLG Displayは、90億米ドルを投入して新しい製造工場を2カ所に建設することにより、業界をリードしていきたい考えだ。


プラスチック/フレキシブル有機ELディスプレイの市場予測(クリックで拡大) 出典:IDTechEX

「Galaxy」や「Apple Watch」も採用

 フレキシブル基板上に形成する有機ELディスプレイは、既に市場に投入されている。例えば、Samsungの最新スマートフォン「Galaxy S7 Edge」やAppleのスマートウオッチ「Apple Watch」などの民生機器に搭載されている。プラスチック有機ELディスプレイは、従来のガラス基板ベースのディスプレイよりもはるかに薄くて軽いため、デバイスの薄型化と電池容量の増加を実現することができる。IDTechEx Researchでシニアテクノロジーアナリストを務めるGuillaume Chansin氏は、「将来的には、フレキシブルディスプレイによって、折り曲げ可能なモバイル機器を実現できる可能性もある」と述べている。

 同氏は、「プラスチック/フレキシブルディスプレイの台頭は、業界における最も重要な動向だ。これにより、サプライチェーンにさまざまなチャンスがもたらされている」と指摘する。米国のKateevaは最近、8800万米ドルの資金を追加調達しており、さらなる成長拡大を狙う。同社はフレキシブル有機ELディスプレイ上に薄膜を蒸着するための装置を提供している。新しい投資家たちは全て、BOEやTCL Capitalをはじめとする中国企業ばかりだ。

 Chansin氏は、レポートの中で、「プラスチック/フレキシブル有機ELディスプレイ市場は、2020年までに180億米ドル規模に成長するとみている。現在のところは、スマートフォンとスマートウォッチの2つが主要分野であるが、技術がさらに成熟していけば、自動車用ディスプレイなどの大きい寸法での用途も実現する可能性がある」と述べている。

AR、VRの台頭で新たなチャンス

 AR(拡張現実)やVR(仮想現実)など、ウェアラブル機器での新しい用途も市場に登場していることから、有機ELディスプレイメーカーに新たなチャンスがもたらされている。ソニーやOculus、HTCなどは既に、有機ELディスプレイをベースとした新しいVRヘッドセットを発表している。ARヘッドセットでは、主要なディスプレイ技術として、有機ELマイクロディスプレイがLCoS(Liquid Crystal on Silicon)を置き換える可能性がある。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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