4層のモジュール基板、総板厚0.2mm以下で実現:パナソニック、新フレキ基板材
パナソニックは、「JPCA Show 2016」で、モジュール基板のさらなる薄型化を可能とするフレキシブル基板材料(樹脂付き銅箔)「FELIOS FRCC」を展示した。
カバーレイとプリプレグ、銅箔の機能を一体化
パナソニックは、「JPCA Show 2016」(2016年6月1〜3日、東京ビッグサイト)で、モジュール基板のさらなる薄型化を可能とするフレキシブル基板材料(樹脂付き銅箔)「FELIOS FRCC」を展示した。スマートフォンなどモバイル端末に採用されているという。
一般的なフレックスリジッド基板は、フレキシブル基板材料の上下にポリイミドフィルムと接着剤からなるカバーレイやプリプレグ(ガラスエポキシ樹脂)、銅箔、ソルダーレジストなどを積層して形成される。FELIOS FRCCは、このうちカバーレイとプリプレグ、銅箔の3つの機能を一体化している。
265μmが189μmに
これにより、4層の基板を作製した場合、従来の一般的なフレックスリジッド基板では総板厚265μmとなっていたが、FELIOS FRCCを用いると総板厚を189μmまで薄型化することができるという。カバーレイの表面処理や銅箔の貼り付け工程を省略することができ、1回の熱プレス工程で済むなど、基板製造工程の簡素化が可能である。
この他、多層後の表面平滑性にも優れているという。従来のフレックスリジッド基板ではカバーレイの埋め込み性などから、表面に凸凹が生じることがあった。FELIOS FRCCは、表面平滑性が高く、こうした問題もないという。
ブースには、顧客が開発したスマートフォン向けモジュール基板など、FELIOS FRCCを応用した製品もいくつか参考展示された。
これ以外にも、新コンセプトで基板の反りを低減する半導体パッケージ基板材料「MEGTRON GX」や、スマートフォン向け基板の極薄化を可能とする多層基板材料「Halogen-free」、高速動作が必要なハイエンド製品向けの多層基板材料「MEGTRON 7」などを紹介した。
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