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Si系太陽電池でモジュール変換効率23.8%達成:パナソニック「世界最高記録」
パナソニックは2016年3月2日、シリコン(Si)系太陽電池のモジュール変換効率で23.8%を達成したと発表した。
パナソニックは2016年3月2日、研究開発段階にあるシリコン系太陽電池でモジュール変換効率23.8%を達成したと発表した。同社では、「研究開発レベルとして世界最高記録」とする。
SunPowerの記録を1ポイント上回る
パナソニックによると、非集光型シリコン系太陽電池におけるモジュール変換効率の従来最高値は、米SunPower(サンパワー)が2015年11月に達成した22.8%だったという。これを今回、研究開発レベルで1.0ポイント上回ることに成功した。
23.8%のモジュール変換効率を達成した太陽電池は、太陽電池モジュール「HIT」の名称で生産、販売している結晶シリコン基板とアモルファスシリコン膜を組み合わせたヘテロ接合型太陽電池。今回、ヘテロ接合型太陽電池セル化技術と高出力モジュール化技術をさらに進化させるとともに、太陽光をより有効活用できるバックコンタクト型セル構造を適用することで効率を高めた。バックコンタクト型セル構造は、電極を全て裏面に配置する構造で、電極の影による損失をゼロにし、入射光を有効利用できるとされる。
パナソニックは、セル変換効率においても、「2014年4月に研究開発レベルで25.6%という世界最高値を達成しており、シリコン系太陽電池のセル変換効率、モジュール変換効率ともに世界ナンバーワンとなった」と主張している。
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