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半導体商社から付加価値ビジネスへと構造変換をバイテックが語る経営戦略(1/2 ページ)

バイテックホールディングスは2016年6月2日、デバイス事業と環境エネルギー事業の2つの柱に関する経営戦略説明会を東京都内で開催した。2016年度は、基盤整備の年と位置付ける。

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デバイスと環境エネルギーの2つの柱


今野邦廣氏

 バイテックホールディングスは2016年6月2日、東京都内で経営戦略説明会を開催した。同社会長兼社長の今野邦廣氏は、「2016年度は基盤整備の年と位置付ける」と語る。現在、事業の柱には“デバイス事業”と“環境エネルギー事業”の2つがある。

 2016年3月期の売上高は1454億円(前年比22.5%増)、営業利益は24億円(前年比1.1%増)。デバイス事業の売上が約1367億円、環境エネルギー事業が約87億円を占める。

 デバイス事業は、車載用半導体や新規製品となる指紋センサー、調達ビジネスが順調に拡大し、売上高は前期比26.3%増となった。V-lowマルチメディア放送へ資本参画するなど新規ビジネスも進め、営業利益は前年比12.4%減の15.68億円となっている。

左=同社の2016年3月期の売上高、営業利益に関する概要/右=2017年3月期の連結決算見通し (クリックで拡大) 出典:バイテックホールディングス

 環境エネルギー事業は、太陽光パネル生産からの撤退などで、売上高は前年比16.6%減。売電関連の成長によって営業利益は8.69億円となり、営業利益率は10%を超えたとする。新しく植物工場を稼働させるなど、農業ビジネスの展開も進めている。

 同社は、2017年3月期もデバイス事業/環境エネルギー事業ともに成長すると予想しており、売上高は1600億円、営業利益は28億円になるとの見通しだ。

デバイス事業は付加価値ビジネスに転換へ


GPS付き防災ラジオ (クリックで拡大)

 売上高の多くを占めるデバイス事業だが、半導体業界の再編により、セットメーカーに半導体製品を単体で販売する既存のビジネスモデルだけでは厳しくなっているのが現状という。そこで、デバイス事業の重点施策とするのが、“付加価値ビジネス”である。

 付加価値ビジネスの事例として挙げたのは、アマネク・テレマティクスデザイン(以下、アマネク)との取り組みだ。アマネクは、V-Lowマルチメディア放送「i-dio」で、モビリティ向け専用デジタルラジオチャンネルを開設。バイテックは2015年10月、アマネクと資本提携を結び、i-dioを活用したGPS付き防災ラジオの開発に取り組んでいる。

 防災ラジオの開発には、チューナーモジュールを提供するとともに、製造パートナーとして機器の開発に携わり、製品の販売までサポートするとした。バイテックシステムエンジニアリング社長の原田宜氏は、「アマネクとの取り組みでは、他にも6〜7種類の製品開発を行っており、2016年度はそこに注力していく」と語る。


付加価値ビジネスの概要 (クリックで拡大) 出典:バイテックホールディングス

 他にも、指紋センサーモジュールの企画/製造や、NTTドコモなど4社と共同で発表したコミュニケーションパートナー「ここくま」の開発では、開発マネジメント行っている(関連記事:半導体商社が“くまのぬいぐるみ”開発を行う理由)。

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