NXP、汎用ロジック/ディスクリート事業売却:中国の投資会社に約2900億円で
NXP Semiconductorsは2016年6月14日、中国の投資家コンソーシアムに、スタンダード・プロダクト事業部門を約27億5000万米ドルで売却することで合意したと発表した。
ディスクリート製品事業を売却
NXP Semiconductors(以下、NXP)は2016年6月14日(オランダ時間)、中国のBeijing Jianguang Asset Management(JAC Capital)とWise Road Capital LTD(略称:Wise Road Capital)で構成される金融投資家コンソーシアムに、同社のスタンダード・プロダクト事業部門を、約27億5000万米ドルで売却することで合意したと発表した。規制当局や、従業員代表との協議の結果にもよるが、同取引は2017年第1四半期に完了する予定だとしている。取引完了時には、同事業部門は「Nexperia」の社名で、本社をオランダ・ナイメーヘン(Nijmegen)に置いて事業を展開するという。
同社のスタンダード・プロダクト事業は、車載、産業、コンピューティング、民生、ウェアラブル機器といった市場向けのバイポーラトランジスタ、MOSFET、ダイオード、ロジック、ESD保護といった、いわゆるディスクリートと汎用(はんよう)ロジックを手掛けてきた。2015年会計年度での同事業部門の売上高は、12億米ドルだった。NXPの日本法人であるNXPセミコンダクターズジャパンによると、同会計年度(Freescaleからの売上高は含んでいない)において、NXP全体の売上高の約3割だという。Freescaleの売上高も含めた2016年第1四半期では、全体の約12%となっている。
NXPの発表によれば、今回の合意に基づき、スタンダード・プロダクト事業部門の全ての業務は、同部門の従業員約1万1000人と含め、Nexperiaに移管される。Nexperiaはオランダ法人となるが、取引完了時にはJAC Capital とWise Road Capitalの100%所有企業となる。
同時に、英国のマンチェスターとドイツのハンブルクにあるNXPのスタンダード・プロダクトの前工程工場および、中国の広東省、マレーシアのスレンバン、フィリピンのカブヤオにある後工程工場もNexperiaに移管される。さらに、内製機器メーカーのITECと、スタンダード・プロダクト事業に関連する全ての特許とIP(Intellectual Property)も移管されるという。
NXPは2015年6月、JAC CapitalにRFパワー事業を18億米ドルで売却することで合意している。2015年12月にNXPとFreescale Semiconductorの合併が完了したと同時に、この売却も完了し、世界第2位の売上高を持つRFパワー企業Ampleonが誕生している。
NXPは、今回の売却の理由について「ハイパフォーマンス・ミックスド・シグナル事業にフォーカスし、『Secure Connections for a Smarter World(よりスマートな世界を実現するセキュアなコネクション)』戦略をさらに推進するため」としている。NXPセミコンダクターズジャパンは、「ディスクリートとロジックでは、多くの工場を保有するという強みを生かし、大量に製造して大量に販売して、1個当たりの価格を下げることで勝負してきた」と話す。これまで、その戦略はうまくいっており、スタンダード・プロダクト事業のディスクリートは、世界市場において長年、約2割のシェアを安定して獲得してきたという。そのため、業績の低迷による売却ではなく、あくまで戦略的な売却だと強調した。
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