計測器レンタル事業を支える巨大技術拠点に迫る:「世界中どこにもない規模の校正施設」(1/3 ページ)
計測機器レンタル大手として事業領域を拡大させるオリックス・レンテック。現在、同社がレンタルする機器は、3万3000品種160万台を超える。なぜ、これほどまでの数の機器を貸し出せ、ユーザーの信頼を得られるようになったのか。同社事業の根幹を支えるという拠点「技術センター」を取材した。
稼働率9割を支える「技術センター」
稼働率、9割超――。
この数字は、計測機器/PC・サーバレンタル大手のオリックス・レンテックが所有している計測機器/PC・サーバが顧客に貸し出している割合(稼働率)だ。同社は、3万3000品種、162万台という、とてつもない数の計測機器/PC・サーバを所有するが、そのうち、倉庫で貸し出されるのを待っている機器はわずか10万台あまりしかないという計算になる。レンタルビデオ店に例えるならば、棚にならぶコンテンツの10本中9本は、貸し出し中というような状況だ。
稼働率が高ければ高いほど、貸し出す側が得られる利益は増す。強いては、その利益はレンタルサービスに還元され、よりコストパフォーマンスのよい条件で顧客は機器を借りられるようになる。
日本初の計測機器レンタル会社として成功
1976年に日本初の計測機器レンタル会社として設立したオリックス・レンテックは、電子計測機器のレンタルを皮切りに、PCや化学環境分析器などへ取扱い領域を拡大しながら、企業規模を拡大。高稼働率を背景にした良質のレンタルサービスで顧客支持を増やしてきた結果、3万3000品種/160万台以上もの機器を持つ企業へと成長したのだ。
この稼働率9割超は、一筋縄では実現できない数字だろう。まず、的確にその時々に、顧客が求めている機器を仕入れて、用意しておかなければならない。仮に、100%、顧客が借りたいと思う需要のある機器を取りそろえたとしても、稼働率9割はままならないのだ。
なぜなら、計測機器、PC/サーバ類はメンテナンスが必要になるからだ。特に約7000品種約8万台を取り扱う計測機器は、メンテナンスとともに、測定結果の信頼性を担保するための校正作業も必要になる。仮にレンタル期間10カ月に対し、メンテナンス/校正作業に1カ月以上かけてしまえば、稼働率は9割を切ることになる。レンタル期間がもっと短ければ、それだけメンテナンス/校正作業に費やせる時間は、短くなる。かといって、メンテナンス/校正作業をおろそかにすれば、サービスの質を落とすどころか、校正不十分な機器は、計測機器としての体を成さないことになる――。
時間的損失を抑えるために
メンテナンス/校正作業の時間を少しでも短縮するために、オリックス・レンテックが実施しているのが、“徹底した自前主義”だ。「計測機器メーカーに送って、校正すれば、数週間の時間を要する。自社でメンテナンス、校正できれば、時間を短縮できる」(同社技術センター担当執行役員松野城太郎氏)というわけだ。
オリックス・レンテックは、貸し出しを待つ機器を保管する倉庫を、東京都町田市と神戸市の2カ所に持つ。しかし、2カ所の拠点名は「東京技術センター」「神戸技術センター」であり、“倉庫”の文字は、見当たらない。
約10万台の機器保管能力を有するメイン拠点である東京技術センターは、敷地面積1万4173m2、延床面積2万7566m2の大きさを誇る施設だ。しかし、倉庫部分の占有スペースは建屋の半分に満たず、過半は“技術センター”の名にふさわしく、メンテナンス/校正など技術サービスを施す作業場となっている。
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