計測器レンタル事業を支える巨大技術拠点に迫る:「世界中どこにもない規模の校正施設」(2/3 ページ)
計測機器レンタル大手として事業領域を拡大させるオリックス・レンテック。現在、同社がレンタルする機器は、3万3000品種160万台を超える。なぜ、これほどまでの数の機器を貸し出せ、ユーザーの信頼を得られるようになったのか。同社事業の根幹を支えるという拠点「技術センター」を取材した。
見渡す限り、校正作業場
2棟の5階建て建物で構成される東京技術センターの1フロアは、「電子計測機器の校正室」だけで構成される。別の1フロアは、化学・環境計測機器の校正室であり、見渡す限り、従業員が校正作業を行っているという光景が広がる。
このように、校正作業のために大きなスペースを割くには理由がある。電子計測器の校正とひとくちにいっても、電圧/電流/電力測定器、周波数測定器、オーディオ測定器、高周波測定器、ワイヤレス通信用測定器、放送用測定器、映像信号測定器、プロトコルアナライザーなど、挙げきれないほどの種類の計測機器の校正を手掛ける必要がある。それら多様な校正を行うための標準器を配置して、作業をするスペースを確保しているのだ。
ちなみに電子計測器の標準器は、1次標準器が約150台、2次標準器が約2000台(出張校正用含む)もある。さらに1次標準器を校正する“照合標準器”も所有し、温度など厳重な環境管理がなされた国際規格(ISO/IEC17025)を満たした校正機関として認定された標準室(計測標準センター)も完備する。
化学・環境計測機器の校正室に至っては、流量センサーを校正するための水を流す装置、風速計を校正するための風洞装置など「標準器」というよりも、「大規模な標準装置」が居並ぶ空間となっている。
松野氏は「恐らくこれほどの標準器をそろえた校正施設は、世界中探しても、どこにもないはず」と胸を張る。
モノとヒト、一元管理
これほどまでの規模の施設で、トレーサビリティーが厳格な校正作業を実施するのも容易ではない。モノとヒトの管理が煩雑になるためだ。
オリックス・レンテックでは、全てのレンタル品に固有の資産管理番号を割り当てコンピュータで管理。各工程で資産管理番号を読み取り、ログを管理するだけでなく、校正情報なども一元管理する。そして、そのコンピュータシステムは、レンタル品だけでなく、従業員も一元管理する。約300分野にも及ぶ校正作業に対し、各従業員がどのようなスキルを有しているかを把握し、スキルレベルが達した従業員(ないし、指導員レベル従業員の立ち会いのある時)のみ、校正を実施できるようになっている。
松野氏は「管理システムは、単に、スキルレベルの足りない従業員の作業を排除するだけでなく、新たな分野でのスキル獲得を促すなど教育面での指示も出すようになっている」とし、1人の従業員が対応できる校正作業分野を多くして効率的に作業が行えるような仕組みを用いている。
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