5G、土台があれば優れたサービスは生まれてくる:Keysight 5G AKIBA Summit 2016(2/3 ページ)
キーサイト・テクノロジーは2016年6月10日、5Gの最新技術動向や5G開発向けの計測器などを紹介する「Keysight 5G AKIBA Summit 2016」を開催した。基調講演ではNTTドコモが登壇し、5G(第5世代移動通信)の技術動向や2020年での一部商用化の予測について語った。
5G向け周波数帯、3つの候補
中村氏は、NTTドコモが提案する帯域の候補として次の3つを挙げた。まずは3.4GHz〜3.8GHz帯(帯域幅は400MHz)だ。ここは世界的に使用しやすい帯域ではあるが、中村氏は「3.4GHz〜3.6GHz帯はLTEに既に割り当てられていて、3.6GHz〜3.8GHz帯は日本では使いにくい帯域。そのため日本としては5G向けには適していないが、他の国でのローミングの観点でいえば、当社としてもカバーしておきたい周波数帯だ」と説明する。
次に4.4GHz〜4.99GHz帯(帯域幅は500MHz)だ。ここは日本では、広い帯域幅を確保できる周波数帯だが、ほとんどの国/地域で使えない帯域になっている。「ただ、中国では使えるので、5Gのエコシステムとしては十分といえる」(中村氏)
3つ目が27.5GHz〜29.5GHz帯(帯域幅2GHz)だ。いわゆる28GHz帯で、Samsung Electronicsなどもここを使った5G技術の開発を進めていて、中村氏も「非常に盛り上がっている帯域で、日本でもある程度使える」と述べる。同氏は「今後数年間でデバイスを用意できるかが課題になっているが、明確なニーズも見え始めており、協力してデバイスの開発を進めれば2020年に間に合うのではないか」と続けた。
なお、中村氏は、免許不要の周波数帯域(アンライセンスバンド)について、「周波数のリソースが十分にない場合、アンライセンスバンドを使わなくてはいけないとは思っている。だが、信号の品質などを考慮するとオペレーター(通信事業者)としては、できればライセンスバンドを使いたい。アンライセンスバンドに頼ることなく、5Gを提供したいと考えている」と述べた。
NTTドコモは現時点で、合計13社とパートナーシップを組んで5Gの研究開発を進めている。2017年からは東京を中心に、技術面だけでなく運用面でのノウハウを積むための実証実験を進めていく予定だという。
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