Apple、AI/スマートホーム市場で勢力拡大を狙う:次期OS群で
Appleは、最新版ソフトウェアをアップグレードすることにより、機械学習やスマートホーム市場への進出に向けてエコシステムを拡大し、ライバルであるGoogleとの競争を加速させていく考えのようだ。
機械学習を検索機能に
Appleは、iPhoneや「Macintosh」「Apple TV」「Apple Watch」向けOSのデベロッパーバージョンを、2016年秋にアップグレードする予定であることを明かした。
今回のアップグレードにおいて重要なテーマとなったのが、エンドユーザーのデバイス上で動作する、機械学習アルゴリズムをベースとしたスマート検索機能だ。Appleが、このスマート検索機能を向上させる上で、次世代システムに最新のチップやコアを搭載する予定なのかどうかは不明である。
Googleは2016年5月、自社のデータセンターにおいてアルゴリズムを動作させる、機械学習専用のプロセッサを発表したところだ。同社は2015年に、このアルゴリズムをオープンソース化している。
「Siri」の開放
Appleの音声アシスタント機能「Siri」のAPI(Application Programming Interface)が開放されたことで、デベロッパーはついに、Siriを使ったアプリを開発できるようになる。
Appleが、米国カリフォルニア州サンフランシスコで2016年6月13日に開催した「Worldwide Developers Conference(WWDC) 2016」においてこのニュースを発表すると、5000人の聴衆からその日最大の喝采が沸き起こった。Siriは、次世代版のMacOS「Sierra」でも利用可能になるという。
サードパーティー企業は今後、Siriを利用することにより、キーボードのスマート化から、自動車におけるより安全なインタラクション機能に至るまで、幅広い用途に向けたアプリを作成できるようになる。Appleは、仮想認識アルゴリズムを利用して、画像の検索やグループ化、表示などを簡素化するための取り組みも進めているという。
Appleでソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントを務めるCraig Federighi氏は、「次期iOSの『iOS 10』では、写真1枚当たり最大110億のオブジェクトやシーンIDの計算性能を実現することにより、デバイス上の写真をより簡単に検索できるようになる。クラウド上ではなくデバイス上でデータ分析を行うことにより、データを個人の管理下に置くことが可能だ」と、Googleへの皮肉を込めて語った。
Appleは、同社のさまざまなプラットフォーム上でデスクトップドキュメントやデータなどを利用できるようにしていく上で、「iCloud」サービスへの依存をさらに強めている。
ソフトウェアプラットフォームの統合へ?
Appleは、SiriをApple TV用ソフトウェアに統合していくという。こうした動きから分かるのは、同社が、機械学習に関する取り組みだけでなく、PCやTV、携帯電話機、スマートウォッチ向けに個別に用意されているソフトウェアプラットフォームを簡単に統合できるようにするための取り組みも、拡大していきたい考えであるということだ。
同社は、個別のプラットフォーム同士を連携させるさまざまな方法を示した。例えば、Apple Watchがあれば、Macでパスワードを入力する必要がなくなったり、Macに保存されたデータをiPhoneにペーストしたり、といった具合だ。さらに、クレジットカード決済サービスの「PayPal」のように、「Apple Pay」のサービスをWeb上でも利用できるようにするという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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