顔認証による決済サービス、NEC本社で実験:生体認証技術を活用した新事業創出に向けて
NECは、自社本社ビル内で顔認証を活用した決済サービスの実証実験を実施する。将来的には、生体認証技術を活用した新規事業の創出に結びつけていく考えである。
技術性能の向上や運用ノウハウを蓄積
NECは2016年6月、顔認証を活用した決済サービスの実証実験を、本社ビルの売店を利用して実施すると発表した。実用化に向けた技術性能の向上や運用ノウハウの蓄積を行いつつ、生体認証技術を活用した新事業の創出に結びつけていく。
同社は、2016年4月より自社本社ビル内で、「ウォークスルー顔認証システム」の大規模実証実験を実施している。今回の実験はこれに続くもので、生体認証技術を活用した実証実験の第2弾となる。実施期間は2016年6月下旬〜8月下旬を予定している。
顔認証技術を応用した決済サービスには、認証精度が高い自社製顔認証エンジン「NeoFace」を用いている。事前に撮影し登録を済ませた社員の顔画像と、POS端末の近くに設置したカメラで撮影した顔画像を照合して本人確認を行う。本人であることがその場で確認されれば、売店での商品購入をキャッシュレス、カードレスで行うことができるという。
実証実験では、実店舗を想定して、カメラの種類やその設置場所、照明、セキュリティと利便性のバランスなど、さまざまな運用条件を設定し、認証性能や運用負荷を検証する。その上で、実用化に向けたシステムの改善や改良などを行っていく。
最終的には、2020年あるいはそれ以降を見据えて、生体認証技術を活用した新規事業の創出に結びつけていく考えである。社会ソリューション事業を手掛ける同社は、開発中であるシステムの完成度をさらに高めることで、安全で安心なまちづくり、社会づくりに貢献できるとみている。
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