20年寿命、効率97%の1kWミニインバーターを発表:村田製「太陽光発電への新しい提案」
村田製作所は2016年6月22日、太陽光発電向け1kW出力のミニインバーターを開発したと発表した。同社独自のマルチレベル回路技術を適用し、設計寿命20年と効率97%を実現したという。
独自のマルチ回路技術を適用
村田製作所は2016年6月22日、太陽光発電向け1kW出力のミニインバーターを開発したと発表した。太陽光パネルと同等の設計寿命20年、効率97%を実現。太陽光発電システム全体のコスト削減が期待できる。
一般的な太陽光発電ストリングインバーター(パワーコンディショナー)は、ストリング設計や配線工事が複雑で、影の影響を受けやすいなど環境耐性が低い。発電量の減少や発電停止、短寿命といった課題もある。米国では、これらの課題を解決するためにマイクロコンバーターが普及しつつあるが、コストが高く、変換効率が低いのが課題だ。
同社が開発したミニインバーターは、ストリングインバーターとマイクロコンバーターの利点を融合した製品という。今回、独自の高効率マルチレベル回路技術を適用。マルチレベル回路技術で、インバーター内部の系統連系コイルにかかる電圧を2分の1以下に軽減してコイルの小型化を実現。また、スイッチング素子にかかる電圧も2分の1に軽減することで、スイッチング素子のオン抵抗を軽減し、変換効率改善を実現している。
これにより、小型で高効率の1kWインバーターの開発に成功したとする。同社は、EE Times Japanの取材に対して「マルチレベル回路技術そのものは一般的だが、当社はマルチレベル回路方式の1種を特許として保有している」と語る。
入力電圧は80〜250V、出力電圧は200V。防水規格はIP66に対応する。920MHz帯の通信機能を備えているため、HEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building Energy Management System)との連携が可能である。
外形寸法は450×160×50mm。2017年度中の量産開始を予定しているとした。
訂正とお詫び:掲載当初、発表日を「2016年6月23日」と記載していましたが、正しくは「2016年6月22日」です。訂正して、お詫び致します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 太陽電池、これまで10年これから10年(前編)
EE Times Japan創刊10周年を記念し、主要技術の変遷と将来を紹介する。太陽電池は燃料を必要としない未来の技術としてもてはやされてきた。しかし、国の産業政策は必ずしも成功してはいない。では技術開発の進展はどうだったのか。これまでの10年とこれからの10年を紹介する。 - 太陽電池、これまで10年これから10年(中編)
燃料を必要としない発電技術として、太陽電池に期待が掛かっている。火力発電を置き換えるという目標達成も見えてきた。発展途上国では発電所の増設時に、石炭火力と並ぶ選択肢となった。今回はインドとドイツの現状から、太陽電池の今を伝える。 - シャープ、変換効率31.17%の太陽電池モジュール
シャープは2016年5月19日、太陽電池モジュールとして世界最高の変換効率31.17%を化合物3接合型太陽電池で達成したと発表した。従来の太陽電池モジュールの変換効率の世界記録を大幅に塗り替えたとする。 - 1cm角の全固体リチウムイオン電池、IoT向けに発進
英国のIlika Technologiesが、1×1cmと超小型の全固体薄膜リチウムイオン電池を発表した。容量は250μAhで、環境発電技術と組み合わせて、まずはIoT(モノのインターネット)機器をターゲットとする。