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車載イーサネット、ついにギガビット時代へコネクテッドカーを実現するネットワーク技術(1/2 ページ)

Marvell Semiconductor(マーベル セミコンダクター)は、次世代車両向けイーサネット市場でリーダー的役割を果たしていく考えである。車載向けギガビットイーサネットに対応するPHYトランシーバーICや開発プラットフォームの供給で先行する。

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車載ネットワーク技術を進化させる「ACE」

 Marvell Semiconductor(マーベル セミコンダクター)は2016年6月22日、車載向けイーサネット事業戦略に関する記者説明会を東京都内で開催した。同社は、次世代車両向けイーサネット市場でリーダー的役割を果たしていく方針である。他社に先駆け、車載ギガビットイーサネット向けPHYトランシーバーICや開発プラットフォームなどの供給を始めている。

 マーベルは、1995年に設立されたファブレス半導体メーカー。HDD/SSD装置やIoT機器、コンピュータシステム、組み込み機器、ネットワーク装置、車載電子機器などに向けたIC/ASICを供給している。車載向けでは、2011年にWi-Fi製品の供給を始めた。2015年には、1000BASE-T1車載用イーサネットPHYトランシーバーIC「88Q2112」を発表している。

1000BASE-T1の規格制定を主導


マーベルでオートモーティブソリューショングループのディレクターを務めるAlex E Tan氏

 マーベルでオートモーティブソリューショングループのディレクターを務めるAlex E Tan氏は、「イーサネット技術に関する豊富な経験を生かして、JASPA(Japan Automotive Software Platform and Architecture)と車載用に次世代高速LANの規格化を進めている」と話す。また、エンタプライズネットワーク製品向けイーサネット用ICの主要サプライヤーでもある同社は、1000BASE-T1の規格制定に向けて、関係各社への呼びかけなども主導してきたという。

 2016年4月には、車載向けネットワーク技術に関する開発拠点「マーベルオートモーティブセンターオフエクセレンス(ACE)」をドイツに開設した。ACEには約50人の専門エンジニアが常駐する。将来のコネクテッドカーを実現するためのネットワーク技術などについて研究し、必要となるICの設計、関連するソフトウェアの開発、技術者のトレーニングなどを行う拠点となる。Tan氏は、「OEMやTier1と一緒に、次世代の車載ネットワークに必要となる技術を開発していくことを目標としている」と話す。

ドイツの自動車メーカーが採用を決定

 通信速度が最大100Mビット/秒の車載イーサネットは、既にドイツの自動車メーカーが導入を決めた。日本の自動車メーカーも興味を示している。特に車載インフォテインメントシステムや自動運転システム向けに採用を検討しているという。

 Tan氏は、車載向けイーサネット事業におけるマーベルの強みについていくつか示した。1000BASE-T1や100BASE-T1、マルチペアイーサネット/FEFAなど、全てのイーサネット規格に対して動作可能な製品を開発している。しかもPHYトランシーバーICだけでなく、マルチポートスイッチICやエンドノード向けSoCなど、さまざまな車載専用のICを開発している。そして、EMI対策が十分で低消費電力、高い品質、高度なセキュリティなどを実現している、ことなどを挙げた。


マーベルが提供する車載向けイーサネット技術や製品 出典:マーベル

 同社は既に、「IEEE802.3bw」に準拠した100BASE-T1 PHYトランシーバーIC「88Q1010」やスイッチIC「88Q5050」などを供給している。OEMやTier1で信頼性試験が行われているという。さらに、2015年10月より車載向けギガビットイーサネットPHYトランシーバーIC「88Q2112」のサンプル出荷も始めている。1000BASE-T1のドラフト規格である「IEEE802.3bp」に準拠したPHYトランシーバーIC製品である。1000BASE-T1規格は2016年7月に開催されるIEEE会合で正式承認される見通しだ。

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