FCC、5G向け帯域について2016年7月に規則採決へ:ミリ波帯の開放に注目(1/2 ページ)
FCC(米国連邦通信委員会)は2016年7月14日(現地時間)に、5G(第5世代移動通信)向けとして高周波帯域を開放するための規則について採択を行う。
5G向けに高周波帯域を開放か
FCC(米国連邦通信委員会)のチェアマンであるTom Wheeler氏は2016年6月20日、ナショナルプレスクラブ(National Press Club)において講演を行い、「5G(第5世代移動通信)は、国家的優先課題である。FCCは2016年7月14日(現地時間)に、高速かつ低レイテンシの5G無線アプリケーション向けに高帯域のスペクトラムを開放するための新規則について、採択を行う予定だ」と述べた。
Wheeler氏は2016年6月24日に、自らが提案する新規則について、同僚たちに説明を行う予定だとしている。
同氏は、「FCCが7月の採決で私の提案を承認すれば、米国は世界で初めて、5G向けの高帯域スペクトラムを開放することになる。米国企業が、世界に先駆けて一歩を踏み出すことになるため、その重要性は極めて高い」と述べている。
同氏は、「FCCは、2016年7月14日の採決の一環として、他の高周波帯域の開放についても見解を述べるつもりだ。FCCでは、14GHz帯のようなアンライセンスバンド(免許不要の周波数帯)とライセンスバンドの両方について検討を進めている」と説明した。「14GHzのようなアンライセンスバンドにも新しい技術を適用できるような、柔軟な使用規定が必要だと考えている」(同氏)
ミリ波帯が鍵に
Wheeler氏は、「5G実現の鍵は、これまでモバイルブロードバンドなどのさまざまなアプリケーションに最適だと考えられていた周波数帯域よりも、もっと高い周波数帯域(ミリ波帯)を利用することにある」と主張する。
Wheeler氏は講演の中で、特定のミリ波帯について言及することはなかった。しかし、FCCは、この課題への取り組みを順調に進めているようだ。FCCは2015年10月に、規則制定案告示(NPRM:Notice of Proposed Rulemaking)の中で、28GHz帯と37GHz帯、39GHz帯、64〜71GHz帯について、柔軟に利用できる新しいサービス規則を策定することを提案したという。T-Mobileで技術開発戦略担当バイスプレジデントを務めるKarri Kuoppanaki氏は、2016年初めに、「FCCは、これら4つの帯域を特定することにより、先導的な役割を担っている」と述べている。
Wheeler氏は、「ミリ波信号の物理的特性は、制約でもあり強みでもある。幅が狭い直線上では最高のパフォーマンスを発揮するが、物理的障害物があるとうまく通り抜けられないためだ」と説明する。
ここで問題となるのは、都市環境下では、信号が建物などのさまざまな障害物によって跳ね返されるため、移動体への接続が非常に難しいという点だ。一方で、スペクトラムを何度も再利用することができるという良い点もある。
Wheeler氏は、「新しいアンテナを開発したエンジニアたちに称賛の言葉を述べたい。信号に狙いを定めて増幅できる上、高性能処理も可能になったためだ。最新の技術により、跳ね返されてしまった信号を拾い上げて接続できるようになりつつある」と述べている。
同氏は、「5Gでこのような技術をうまく活用するためには、多数のスモールセルを設置するなど強固なインフラを構築する必要がある。だがこれにより、周波数帯域の再利用や、ネットワークの高密度化およびローカル化の実現に向け、かつてないチャンスがもたらされることになる」と指摘する。
さらにWheeler氏は、「高い周波帯を開放することにより、これまでモバイル用として割り当てられてきた帯域よりも、もっと多くのライセンスバンドをモバイル向けに提供できる」と続けた。
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