NTT西日本、LPWAネットワークを現場で検証:IoT利用シーンの創出、新サービスの開発を加速
NTT西日本は、IoT(モノのインターネット)向けネットワーク「LPWA(Low Power Wide Area)」のフィールドトライアルを実施する。IoT利用シーンの創出と新サービスの開発につなげていく。
関西エリアでトライアル、参加企業を募集中
NTT西日本は2016年6月、IoT(モノのインターネット)向けネットワーク「LPWA(Low Power Wide Area)」のフィールドトライアルを実施すると発表した。このトライアルには、「LoRa Alliance」メンバーが仕様策定したIoT向け通信規格「LoRaWAN」を用いる。
LPWAネットワークは、省電力で広い範囲をカバーできる無線通信の呼称で、IoTやM2M(Machine to Machine)向けネットワークとして注目を集めている。そこでNTT西日本は、さまざまな分野のパートナーと連携し、LPWAネットワークを活用したフィールドトライアルを実施することとした。実証実験によりLPWAに関する技術検証を行うとともに、IoT利用シーンの創出とそれに対応する新サービスの開発などに結び付けていく考えだ。
フィールドトライアルを行う場所は、関西エリアを予定している。NTT西日本ではすでに、トライアルに参加を希望する企業の申し込みを受け付けている(2017年2月末日まで)。参加するには、LoRaWANに対応したIoTデバイス/センサーやサーバなど、検証に必要となる設備環境を自社で用意すること、トライアル期間中に効果検証(打合せ、アンケートなど)に協力すること、NTT西日本が提示するトライアル参加規定の内容に同意すること、などが主な条件となっている。
トライアル参加企業に対しては、NTT西日本よりLoRaWAN規格対応のLPWAネットワークが提供される。また、LoRaWANの日本規格を策定しているSemtech(セムテック)より、LoRaWANの概要及び技術的要件に関する情報が提供される予定である。
NTT西日本はトライアル第1弾として、農業における給水管理や水位/温度制御などを遠隔操作するフィールドトライアルを予定している。このトライアルは多機能型自動給水栓とLPWAを活用したもので、積水化学工業と協力して滋賀県野洲市で行う。このトライアルでは、営農形態に合わせた水管理の実現と、既存の通信方式に比べた電波伝搬強度や省電力効果を検証することにしている。
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