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人の“模倣”ではないAIで、未来を作るNTT R&Dフォーラム 2016(1/3 ページ)

NTTは、「R&Dフォーラム 2016」の一般公開を前に、主な展示をプレス向けに紹介した。AI(人工知能)を搭載した“ぶつからないクルマ”や、眼球の動きから“好みのタイプ”を判別する技術、VR(仮想現実)を利用したスポーツトレーニングのデモなどが披露された。

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「R&Dフォーラム 2016」
NTTは「R&Dフォーラム 2016」を2016年2月18〜19日に開催する(クリックで拡大)

 NTTは2016年2月18〜19日の2日間にわたり、同社の研究成果を披露する「R&Dフォーラム 2016」を開催する。「Open the Way 〜2020とその先の未来へ〜」というテーマを掲げる今回のフォーラムで、注力分野となっているのがAI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)だ。

 同社の副社長および研究企画部門長である篠原弘道氏は、2月16日に行われたプレス向け発表会で、NTTがAIとIoTの研究開発を進める上で、これら2つをどのように捉えているかを語った。同氏が何度も強調したのが、「AIは、人の知性や思考そのものを“模倣”するものではなく、人の能力を補強して引き出すもの」だということだ。機械には、膨大なデータを処理したり、高速に演算したりといった、得意領域がある。篠原氏は、「こうした機械の得意領域を徹底的に磨き、ロボットなどさまざまなハードウェアに“頭脳”を提供できる仕組みを作っていきたい」と述べた。

 IoTに関しては、「さまざまな企業と“排他的ではない”関係を築き、コラボレーションを進めること」が重要だと強調した。「例えばビッグデータは、自社のみで解析して有効活用するのは難しい」とし、集めたデータをお互いに持ち寄り、共有することで、技術革新を加速させ、新たな価値を創造する時代になっていると説明した。

 実際、NTTは、さまざまな業界の43社と共同開発研究を進めている。パナソニックとは、透明なディスプレイを搭載した「シースルーデバイス」を開発し、観光案内などに活用しようとしている。三菱重工とは、ある特定のガス濃度を、実験室内ではなくオンラインで計測する技術を開発。実用化されれば、これまで1〜2日かかっていた計測が数分にまで短縮できるという。

NTTが共同開発を行っている43社「シースルーデバイス」 左=NTTが共同開発を行っている43社/右=パナソニックと開発している「シースルーデバイス」。NTTの物体認識技術などが搭載されていて、この例では、ディスプレイを雷門(模型)にかざすと「Kaminarimon Gate」という名称が表示されるようになっている。建物とその名称を、あらかじめひも付けておき、データベースとしてクラウドに保存しておく。シースルーデバイスをその建物にかざすと、デバイスがクラウドにアクセスして情報を取りにいく仕組み(クリックで拡大)

 なお、篠原氏の講演には、NTTが開発しているプロジェクションマッピング技術「イマーシブテレプレゼンス技術 Kirari!(以下、Kirari!)」が使われた。別室で話す篠原氏の3D映像を、リアルタイムで記者説明会の会場に投影したもので、あたかも篠原氏が“その場で話をしているように”感じさせるものだった。NTTは、2015年に開催した「R&Dフォーラム 2015」で、卓球の試合をKirari!で中継するデモを行っている*)。この時は、あらかじめ撮影しておいた映像を投影したが、今回の篠原氏の講演ではリアルタイムに投影していた。NTTによれば、遅延は約2秒だという。

*)関連記事:競技場を丸ごと3Dで配信!? 圧倒的な臨場感を実現する映像伝送技術【動画あり】

Kirari!で配信される篠原氏
「Kirari!」を使い、別室で話す篠原氏の映像を、記者説明会の会場にリアルタイムで投影した。写真に写っている演台は本物である(クリックで拡大)

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