基板専用熱解析ソフト、最新版で機能を強化:熱解析に不慣れな基板設計者でもすぐに使える(1/2 ページ)
ソフトウェアクレイドルは、電子回路基板専用の熱解析ソフトウェア「PICLS(ピクルス)」最新版(バージョン2)の出荷を始めた。電子回路基板の設計者でも、比較的容易に熱解析を行うことができる。
設計の初期段階で熱対策を検討
ソフトウェアクレイドルは2016年7月7日、電子回路基板専用の熱解析ソフトウェア「PICLS(ピクルス)」最新版(バージョン2)を開発し、出荷を始めた。従来製品(バージョン1)の機能に加えて、外部設計データを活用するためのインタフェースサポートや、より現実的な放熱解析の機能などを新たに追加した。
同社は、3次元熱流体解析ツールとして「STREAM」や「熱設計PAC」「SCRYU/Tetra」などを開発、主に機構設計者に向けて供給している。STREAMや熱設計PACには、電子回路基板の熱解析を行うための機能も含まれているが、電子回路設計者が使いこなすには、解析に必要となる専門知識や導入コストなどの点でハードルが高かったという。
そこで同社は、電子回路基板設計者でも容易に使いこなすことができ、導入コストも安価な基板設計専用の熱解析ツールを開発、2015年6月よりその第一弾となる製品の出荷を始めた。「2次元操作による簡単なモデル作成」「ストレスのないスムーズな結果表示」「温度分布の変化をリアルタイムに確認」できることを製品コンセプトとした。
今回出荷を始める最新版は、従来製品に新機能を追加してバージョンアップした製品である。従来製品でも評価を受けている、マウスドラッグによる部品移動や配線パターン(残銅率)のエリア指定、サーマルビアの設置、基板の作製/切り抜き、層数や銅箔厚の検討、自然冷却/強制冷却の考察などを行うために必要な機能が搭載されている。
最新のPICLSは、これらの機能に加えてIDFデータのインポート/エクスポートおよび配線データ(Gerberデータ)のインポート機能を追加した。また、基板外への放熱経路の検討、複数デバイスにまたがるヒートシンク冷却性能の検討、筐体内における空気温度の予測や、電子回路基板の放熱特性を模擬する機能なども備えている。さらに、チップ抵抗の外形寸法や熱抵抗、許容温度など、基板に実装する部品情報をライブラリとして登録する機能なども新たに追加した。
電子回路基板を設計する工程の中で、PICLSを有効活用できる工程として同社は、論理/機能設計した後に行う、「部品選択」「基板外形設計」「配置設計」などを挙げた。まず、使用する「部品サイズ」と「発熱量」などをPICLSに入力すると、熱設計を行う上でリスクの高い部品を、早期にPCの画面上で確認することができる。次に、ヒートシンクの役割を果たす基板形状が、発熱量に対して十分であるかどうかを確認することができる。さらに、配置設計(レイアウト)の検討である。熱干渉しない部品配置であるかどうかを迅速に検証することができるという。実装する部品など設計上の変更が行われた場合でも、リアルタイムに熱解析できるのが大きな特長の1つである。
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