NEDOが開発着手、高度IoT社会を支える基盤技術:2030年を見据えた横断技術開発プロジェクト(2/2 ページ)
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2030年を見据えて高度IoT社会を支える基盤技術の開発に乗り出す。
センサーシステムの消費電力を1/10に低減する技術
東芝やアルプス電気、テセラ・テクノロジーなどは、「超低消費電力データ収集システムの研究開発」を行う。これを実現するため従来に比べて、センサーシステムの消費電力を10分の1に低減する技術、環境発電電源システムの発電効率を10倍に改善する技術、機能あたりの占有体積を10分の1以下とする高密度モジュール実装技術などの開発に取り組む。
インテリジェントIoT
東京工業大学や富士ゼロックスなどは、「インテリジェントIoTプラットフォームの研究開発」を行う。低消費電力で簡便なセンサーネットワーク構築に向けたハードウェアプラットフォーム、さまざまな処理プロセスに対応できる分散制御OSプラットフォーム、さらには人の感覚を理解できるコミュニケーションプラットフォームや匂いセンシングソリューションといった先端技術を開発していく。
トリリオンノード・エンジン
これ以外に予定されている研究案件として、東京大学生産技術研究所や東芝などによる「トリリオンノード・エンジンの研究開発」、中央大学や東京工業大学、富士通、NECによる「高速ストレージクラスメモリを用いた極低消費電力ヘテロジニアス分散ストレージサーバーシステムの研究開発」、東京大学生産技術研究所と日立製作所による「先進IoTサービスを実現する革新的超省エネルギー型ビッグデータ基盤の研究開発」などがある。
また、東芝や荏原製作所、東京エレクトロンによる「高速大容量ストレージデバイス・システムの研究開発」、産業技術総合研究所や東京大学などによる「省電力AIエンジンと異種エンジン統合クラウドによる人工知能プラットフォーム」、産業技術総合研究所やパナソニックセミコンダクターソリューションズなどによる「超高速・低消費電力ビッグデータ処理を実現・利活用する脳型推論集積システムの研究開発」も予定されている。
さらに、日立製作所や産業技術総合研究所などによる「組み合せ最適化処理に向けた革新的アニーリングマシンの研究開発」、横浜国立大学や三菱電機などによる「Sensor-to-Cloud Security〜ビッグデータを守る革新的IoTセキュリティ基盤技術の研究開発」、さらに先導研究として、制御システムセキュリティセンター(CSSC)や東北大学、電気通信大学による「広域エネルギー制御の革新的セキュリティ基盤の研究開発」が予定されている。
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