スマホ市場の“敗者”に残された道:製品分解で探るアジアの新トレンド(7)(1/3 ページ)
前回に続き、中国iaiwaiの格安スマートウォッチ「C600」について検証する。スマートウォッチをはじめとするウェアラブル機器やIoT(モノのインターネット)機器の市場が開拓された背景には、スマートフォン市場でどうしても勝てなかった者たちの“失地回復”に向けた努力があった。
ウェアラブル市場が生まれた背景
前回取り上げたiaiwaiのスマートウォッチ「C600」のチップを解剖したので今回は、本チップについて検証したい。
本製品はカメラを内蔵していたり、活動量や睡眠量をモニタリングできたりといった機能に加え、2GとBluetooth通信機能を備えている。腕時計サイズで通信機能を持っている製品は、現在では世界中に多々あるが、前回取り上げたように、タッチパネル・コントローラーを含めてわずか4チップで上記機能が完成している点が特徴的だ。さらに、C600にはチップが実装されていないランド端子がいくつもあることも紹介した(図1)。
ウェアラブルやIoT(モノのインターネット)という市場が語られるようになったのは、2014年くらいからである。これには、2つの背景があるものと思われる。
1つ目は、スマートフォンという驚異的な成長を続ける市場において、チップメーカー、端末メーカー、キャリアの“勝者”がほぼ決まったこと。つまり、スマートフォン市場での利益は、これら“勝者”の間でだけ配分され(「富の再配分」)、それ以外のメーカーは他の分野に活路を見いだすしかなくなりつつある。実際、Nokia、Motorola、Blackberryなどの旧トッププレーヤーは壊滅的な苦杯をなめている。
3つの「A」
老舗が衰退する中、AppleやSamsung Electronicsに続いて、中国の多くのメーカーが世界市場にのし上がってきた。Huawei、Lenovo、OPPO、VIVO、Xiaomiらである。
この背景には「AAA」、すなわち「ARM」「Android」「Asia」という3つのAが関与していたことは間違いない。高度な経験と技術がないと開発できないCPUをARMが提供し、Android OSによって動かすための環境も用意された。そしてグローバル時代、インターネット時代においてアジアの成長がどれほど目覚ましいかは、言うまでもないだろう。
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