Infineonによる“CreeのSiC事業買収”の狙い:SiCウエハー製造でもシェアを追う方針(1/2 ページ)
Infineon Technologiesは2016年7月21日、このほど発表したCreeのSiCウエハー/デバイス事業に関する説明を行い、SiCデバイスとともに、SiCウエハーの外販を強化していく方針を明らかにした。
年間売り上げ規模1億7300万米ドル
Infineon Technologies(インフィニオン テクノロジーズ)は2016年7月21日、都内で会見を開き、7月14日(ドイツ時間)に契約を締結したCree(クリー)のSiCウエハー製造事業とSiCデバイス事業買収に関して説明を行った。
Infineonが買収を決めたのは、LED素子などを主力とするCreeの電力変換およびRF(高周波)用SiCウエハー基板製造事業と、Creeの子会社でSiCウエハーを使用したパワーデバイス/RFデバイス事業を展開するWolfspeed(ウルフスピード)。SiCウエハー製造事業とWolfspeedのSiCデバイス事業を合わせて、2016年3月期約1億7300万米ドルの売り上げ規模を誇り、粗利益率も「50%を超える」(Infineon)。買収額は、8億5000万米ドルで、2016年末には買収が完了する予定だ。
Infineonは1992年から、現在主流のシリコンパワーデバイスを置き換える可能性のある次世代パワーデバイスとして、SiCパワーデバイスの開発に着手。2001年には、SiCによるダイオードを商品化し、2014年にはJFET(接合型電界効果トランジスタ)タイプのSiCトランジスタを製品化。さらに、2016年5月には、SiCトランジスタの本命とされるトレンチ型MOSFETタイプの製品(製品名:CoolSiC)のサンプル出荷を開始し、2017年半ばから6インチウエハーラインを用いて量産すると発表している*)。
*)関連記事:インフィニオン初のSiC MOSFETを披露、量産は2017年
これまで、高いシェアを誇るシリコンパワーデバイス事業およびSiCパワーデバイス事業と、“デバイス事業”に集中してきたInfineonだが、今回の買収には、デバイスを作るための材料である“ウエハーの製造部門”が含まれた。
SiCウエハー製造部門を買収する狙いについて同社インダストリアル パワーコントロール(IPC)事業本部でSiC担当シニアディレクターを務めるPeter Friedrichs氏は、「SiCウエハー製造は昨今、さまざまな技術が登場し多様化している。そうした中で、SiCウエハー技術に対して、われわれの方向性を反映できるよう影響力を持ちたいと考えていたため、買収した」と説明する。
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