LPWAとWi-Fi HaLow、完全に競合する可能性も:IoT向け通信ネットワークの台頭で(2/3 ページ)
Wi-Fi Allianceと無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)は共同で、Wi-Fiの今後を議論するイベント「2016 Tokyo Wi-Fi Summit」を2016年7月27日に東京都内で開催した。Wi-Bizの会長は、IoT(モノのインターネット)向けネットワークでは、Wi-Fi HaLow(IEEE 802.11ah)と、SigfoxやLoRaといったLPWA(Low Power Wide Area)が「完全に競合する可能性があり、使い方をきちんと議論する必要がある」との見解を示した。
LPWAとは完全な競合関係か
「ただし、いろいろと課題もある」と小林氏は続ける。その1つが802.11ahだ。IoT向けのネットワークでは、SigFoxやLoRaなどのLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークが拡大している。3GPPでは、NB(Narrow Band)-IoTなどセルラーIoTの標準化が最終段階に入っている。小林氏は「802.11acが、セルラーネットワークのオフロードなど、LTEとうまい具合に補完関係にあるのに対し、SigFoxやLoRa、NB-IoTは、802.11ahと完全な競合関係になってしまう可能性がある」と述べる。
LTE-UやMulteFireへの懸念
さらにもう1つの課題として、4Gベースの無線通信を5GHz帯で使用する「LTE-U(LTE Unlicensed)」「LAA(License Assisted Access)」「MulteFire」の存在がある。これらは全て、4G並みの性能のネットワークを免許不要の5GHz帯で実現しようというものだ。
Wi-Fi通信には2.4GHz帯と5GHz帯が使われているが、Wi-Fi Allianceは2.4GHz帯が混雑していることから5GHz帯への移行を進めている。小林氏は「5GHz帯は空いているといわれているが、都心部ではどんどん周波数が使われて足りなくなりつつある。そういった状況の中で、4Gベースのネットワークも使われることになれば、果たしてWi-Fiが健全な発展を遂げていけるのだろうかという懸念が生じる。この点は今後、しっかりとした議論が必要なところだ」と強調した。
「IoT時代には、キャリアが構築する高品質なIoTネットワークと、公共の場や企業、家庭で、Wi-Fiによって構築されるパブリックおよびプライベートなIoTネットワークの両方が必要になる。SigfoxやNB-IoT、HaLowなど、どれが勝つのか、という視点ではなく、何をどこで使っていくかという視点で検討することが重要だ」(小林氏)
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