ルネサス、マイクロ波デバイス事業から撤退:黒字だけど将来の採算性見込めず
ルネサス エレクトロニクスは2016年8月2日、マイクロ波デバイス事業から撤退すると発表した。2018年夏をメドにマイクロ波デバイス製品の生産、供給を停止する。
事業規模60〜70億円
ルネサス エレクトロニクスは2016年8月2日、マイクロ波デバイス事業から撤退すると発表した。新規のマイクロ波デバイス製品の開発は既に打ち切っていて、2018年夏をメドに生産、供給を停止し、事業を終息させる。
ルネサスのマイクロ波デバイス事業は、GaAs(ガリウムヒ素)やSiGe(シリコンゲルマニウム)など化合物半導体材料を用いた化合物デバイス事業の1つとして展開してきた。主な製品は、ローノイズアンプ(LNA)やRFスイッチ、ミキサー、RFトランジスタなどで無線機器向けを中心に販売してきた。
マイクロ波デバイス事業の直近の売り上げ規模は、「全社売上高(6933億円)の1%程度」(同社)とし60〜70億円。営業損益も近年は黒字を維持していた。
事業撤退を決めた理由としてルネサスは、「黒字のビジネスではあるが、製品技術開発は行っていなかった。そうした中で、(撤退該当製品は)システムLSIに集積される傾向が強い上、台湾を中心とした競合メーカーが台頭し、価格下落も進んでいる。その結果、将来の採算確保が困難になった」と説明している。
量産中のマイクロ波デバイスの生産、供給は、「顧客と相談の上、2年をメドに停止する」とし、作りだめなどの要望に応じる。
光デバイスに注力へ
なお、化合物デバイス事業としては、光デバイス事業に注力する方針。産業機器向け高信頼性フォトカプラをはじめ、データセンターや基地局向けの光通信用レーザー/フォトダイオードの開発を加速させ、化合物デバイス事業としての事業拡大を目指すという。
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