TV事業に固執し続ける日本メーカー:4年ごとに期待を抱く(1/2 ページ)
日本国内のTV出荷台数は大幅に減少しているにもかかわらず、いつまでもTV事業に固執し続ける日本の電機メーカー。オリンピックなどの世界的な祭典に期待をかける傾向があるようだ。
TV事業から離れられない
日本に帰国する度に、(良くない意味の)“伝統”から離れられない状況を目にする。一例が、日本の電機メーカーの“テレビ事業への執着”だ。テレビ事業で何十億米ドルもの損失を出し、2011年以降、日本国内のテレビ出荷数も大幅に落ちているにもかかわらず、彼らはテレビ事業を手放そうとしないのだ。
日本ではこれまで、NHKの主導のもと、高精細4Kおよび8Kテレビを推進する取り組みが進められてきた。このため日本国内のテレビメーカーは、プレミアム製品に対する“ハロー効果”をあてにするようになったのではないだろうか。
さらに、だまされやすい日本の消費者たちが、こうした状況を後押ししているようだ。
ソニーやパナソニック、東芝、シャープなどのメーカーはいずれも、まだ日本の消費者の購買力に頼ることができると考えている。筆者は、東京に住んでいた子ども時代のころからずっと、日本人たちが、より優れた解像度やオプション機能、サイズ、色、ベゼル幅、水平/垂直画素数など、ありとあらゆる性能向上を実現した、高価なテレビの餌食になるのを見てきた。日本の消費者たちは結局、このようなテレビを購入するのだ。
日本のエレクトロニクス業界は、リオデジャネイロオリンピックに向けて、再びテレビ市場に熱い視線を注ぎ、新しい4K/8Kを推進してきた。
NHKは2016年8月1日に、4K/8Kのテスト放送を正式に開始している。
オリンピック放送機構(OBS:Olympics Broadcasting Services)は、8月のオリンピック期間中に、日本のテレビ向けに130時間の8Kコンテンツを提供する予定だ。水泳やサッカー、バスケットボール、柔道などの他、開会式や閉会式も放映される。
8Kは、まだ市場に投入されていないが、テレビメーカーにとっては、全国の展示場やパブリックビューイングなどの場において自社製品を披露することができる、大きなチャンスとなるだろう。
このようなマーケティング戦略は、かなり時代遅れのようにみえるかもしれないが、日本のエレクトロニクス業界がこれまで十分に試行を繰り返してきた作戦の1つである。
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