NIがアカデミック関連のプロジェクトを紹介:脳卒中後のリハビリロボ、北極の氷床下を移動するROV(2/3 ページ)
National Instruments(ナショナルインスツルメンツ、以下NI)は、2016年8月2日〜4日に年次テクニカルカンファレンス「NIWeek 2016」を開催した。本稿ではNIのアカデミック分野や教育関連の取り組みについて紹介する。
北極海の分厚い氷の下を観察するロボット
DEEP FREEZE ROVは、北極海の厚い氷の下側に生える藻類を観察するための水中ロボットだ。この藻類は氷を通り抜けてくる光で光合成を行ってCO2を吸収しており、正確な気候モデル開発のために研究が必要という。これまでは、氷を切り取ってそこに付いている藻類を観察していたが、より研究を進める上で、氷の下側を直接観察しようとした。既存のROV(Remotely Operated Vehicle:遠隔操作型の無人潜水機)は、高価すぎたり持ち運ぶには大きすぎたりしたため、独自に開発した。
左にあるのがDEEP FREEZE ROV本体、右に見える白い円筒がマーカーとして海中に垂らすライト。観測はグリーンランドの氷床上で行うため、装置はできるだけ軽量で運びやすく、また低温下でも確実に動くことが求められた(クリックで拡大)
DEEP FREEZE ROVは、前後に2つずつあるプロペラで移動する。通常の操縦はROVに付いているカメラ映像を見ながら操縦者が手動で行い、観測時には海中2カ所に垂らしたマーカー(ライト)を、前後のカメラで画像認識して直線上を自動的に移動する仕組み。DEEP FREEZE ROVには正の浮力を持たせてあるため、目的の観察地点に到達して推進装置を切ると、上部にあるアームで氷の下面に一定の距離を保って止まる。そうしてカメラで藻類を観察する。DEEP FREEZE ROVの制御と観測データの収集にはmyRIOを使用し、LabVIEWで開発した。開発に当たった学生はプログラミング初心者だったが、容易に開発できたとしている。
驚きの超低燃費
デンマークTechnical Universityの超低燃費カーであるDTU Roadrunnerは、665km/lという驚きの超低燃費を達成した。こちらには、NIの再構成可能な計測/制御用ハードウェア「Compact RIO」が搭載され、ECU、Closed loop Injection Control、自動変速機などの制御とデータ収集を行った。
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