三菱電機、SiC-MOSFET搭載の新型IPM:エアコンの通年エネルギー消費効率向上へ
三菱電機は、インバーター駆動用パワー半導体モジュールの新製品として、新開発のSiC(炭化ケイ素)-MOSFETを搭載したインバーター駆動用パワー半導体モジュール「超小型フルSiC DIPIPM」(PSF15S92F6)を発売した。
インバーターの設計を簡素化、従来製品と端子配置互換
三菱電機は2016年8月、インバーター駆動用パワー半導体モジュールの新製品として、新たに開発したSiC(炭化ケイ素)-MOSFETを搭載したインバーター駆動用パワー半導体モジュール「超小型フルSiC DIPIPM」(PSF15S92F6)を発売した。シリコンベースのMOSFETを搭載した従来製品に比べて、電力損失を約70%節減できるという。
PSF15S92F6は、定格電流15A、定格電圧600Vのインテリジェントパワー半導体モジュールである。新たに開発したSiC-MOSFETを搭載することで、従来製品に比べて電力損失を大幅に削減し、極めて小さい電力消費を実現した。新製品をエアコンに採用すると、通年エネルギー消費効率を改善することが可能になるという。同モジュールにはSiC-MOSFETの他、HVICチップ、LVICチップ、電流制限抵抗付きBSD(Boot-Strap Diode)チップなど、三相インバーターを構成するためのパワーチップがワンパッケージに集積されている。
パッケージの外形寸法は、24.0×38.0×3.5mmと小さく、端子配置も従来製品「PSSxxS92x6シリーズ」などと互換性がある。また、絶縁膜生成工程を最適化することで、高しきい値電圧と低オン抵抗を両立した。これによって、これまでSiC-MOSFETを用いるときに必要だった、オン抵抗を低減するためのゲート負バイアス回路を削減することができるという。
この他、短絡(SC)保護機能、制御電源電圧低下(UV)保護機能、アナログ温度出力機能などを内蔵している。サンプル価格(税別)は2万5000円である。
DIPIPMは、スイッチング素子と制御ICなどを、トランスファーモールド構造のパッケージに集積したインテリジェントパワー半導体モジュール。エアコンや洗濯機、冷蔵庫などの白物家電や産業用モーターのインバーターなどに数多く採用され、機器の小型化や省エネ化のニーズに応えてきた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- フルSiCパワーモジュール、三菱電機が拡充
三菱電機は、「テクノフロンティア 2016」で、SiC(炭化ケイ素)パワーモジュール製品について、主な用途別に最新のフルSiC IPM(Intelligent Power Module)/PFC(Power Factor Module)などを紹介した。 - 三菱電機パワー半導体工場、5月9日に一部生産再開へ
三菱電機は、熊本県合志市のパワー半導体工場の復旧作業に着手し、2016年5月9日に一部生産を再開させる方針を発表した。 - 未来社会に貢献、三菱電機が研究成果披露
三菱電機は、研究開発成果披露会で、24件の成果を紹介した。同社は、「研究開発の成果は成長戦略を推進していくための要」と位置付ける。 - 演算量は従来の10分の1、コンパクトな人工知能
三菱電機は、車載機器や産業ロボットなどに搭載できる「コンパクトな人工知能」を開発した。演算量を従来の10分の1に削減しても、従来と同等の推論結果が得られる機械学習アルゴリズムを開発したことで実現した。