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我々が求めるAIとは、碁を打ち、猫の写真を探すものではないOver the AI ――AIの向こう側に(2)(5/9 ページ)

ちまたには「人工知能」という言葉が氾濫しています。ですが、明言しましょう。「人工知能」という技術は存在しません。そして、私たちがイメージする通りの「人工知能」の実現も、恐らくはまだまだ先になるでしょう。

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“人工知能”の記事を、テキストマイニングしてみた

 さて、今回、私のメールボックスから、7月と8月に受信したメールの中に“人工知能”の文字を含むメールを全部取り出して、そこにリンクされているURLの“人工知能”に関する記事を全て読みました(7月と8月に限定したのは、それ以上調べるのに、疲れたからです)。

 その結果、分かったことは、「これらの記事では、“人工知能”のことはさっぱり分からん」ということでした。書いている内容は理解できるのですが、何を主張したいのかが、分からんのです。

 そこで、コンピュータに文章の内容を調べさせる技術であるテキストマイニング(Text Mining(TM))用のツールを使って、“人工知能”の記事を片っぱしからツールにたたき込んでいきました。

 「あ、分かった」と思ったのは、記事をテキストマイニングツールに20個くらいたたき込んだところだったでしょうか。『取り扱っている対象が全然違うんだ』と気が付きました。

 対象はざっくり3つ、「技術」と「ビジネス」と「社会」でした。

(1)“人工知能”の「技術」に関する記事

 キーワードは、「予測」「高精度」「コンピュータ」になります。

 これは、私のフィールドでもあるので、私には理解しやすい記事です。基本的には、アルゴリズム、コンピュータのスペック、そして予測やその精度に関する内容になります。

 「研究員、技術者以外は、分からん奴は、分からなくても結構」という、媚のない、上から目線の記事は、逆にすがすがしいくらいでした。

(2)“人工知能”の「ビジネス」に関する記事

 キーワードは、「新しい」「分析」「学習」になります。

 基本的には、“人工知能”を使ったサービスやアプリケーション(観光案内、購買意欲促進、医療支援、看護、介護など)の話や、ビジネスに汎用的に使える分析手法、学習による効果などが記載されています。

 “人工知能”の限界についても言及があります。つまり「“人工知能”で、何でもかんでもできると思ったら、大間違いだぞ」と警告する内容も散見され、使う者の立場を意識していることが分かりました。

(3)“人工知能”の「社会」に関する記事

 キーワードは、「人間」「価値観」「知能」になります。

 これは、“人工知能”の共存する社会についてですが、もう、そのほとんどが「“人工知能”が人の仕事を奪うか?」という話題(だけ)でした。

 この話題の記事は、

(a)「このままでは仕事を奪われてしまうぞ。どうしたらいいのか」という恐怖を煽る記事と、
(b)「ケッ! そんなことあるもんか」と冷笑、嘲笑する記事と、
(c)「私たちが“人工知能”のマスター(主人)になれば良いのだ」という別の道を示唆する記事

の3種類に大別できそうです。

 それと、「“人工知能”と仲良くやっていけるか」という記事も多く見られました。

  • 私たちの価値観が大きく揺らぐことにならないか、
  • コンピュータの知能を理解できるか、

 そして、やっぱりありましたけど

  • コンピュータと闘争にならないか、

の話も出てきました。

(4)その他

 あと、“人工知能”の歴史改ざんの記事も見られました。

 「私たちは第1ブーム、第2ブームを経て、最終段階の第3ブームに至って、ここに“人工知能”は完成した」という感じの記事ですが、正直、歴史を後ろから見てつじつまを合わせる、姑息(こそく)な記事と言えましょう。

 前述した通り、第1ブームの時も、第2ブームの時も、同じような感じで「“人工知能”は完成した」と豪語していた研究員がいましたが、結局それと同じことです。

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