“垂直指向のサービス”から抜け出すためのIoT基盤:ノキアが「IMPACT」を国内で本格展開へ(1/3 ページ)
ノキアが、IoT(モノのインターネット)事業を本格化している。同事業の柱となるのが、今後、日本国内への提供を開始するIoT向けのプラットフォーム「IMPACT(インパクト)」だ。ノキアの日本法人であるノキアソリューションズ&ネットワークスは2016年8月25日、事業戦略説明会を開催し、IMPACTについて説明した。
データの収集はゴールではない
現在のIoT(モノのインターネット)において、「デバイスをネットワークに接続することにのみ主眼が置かれ、データを吸い上げることがゴールになっている傾向がある」
こう語るのは、ノキアソリューションズ&ネットワークスでテクノロジー統括部長を務める柳橋達也氏だ。同氏は、もう1つの課題として、IoTでは、“垂直指向のサービスモデル”が主になっていることを挙げる。例えば、スマートウォッチから取得したバイタルサインや歩いた距離などのデータを、ヘルスケア分野にしか生かしていない、といった具合だ。
ノキアソリューションズ&ネットワークス 取締役およびIoT事業推進担当の西原政利氏は、「IoTでは、“データを解析する”という部分が、新しい収益を生み出すところ、つまり新しいビジネスモデルの登場につながっていくと考えられる。そのためには、そうしたビジネスモデルを柔軟に構築できるIoT基盤をしっかりと作っておかなければならない」と語る。
そのIoT基盤としてノキアが提供するのが「IMPACT(Intelligent Management Platform for All Connected Things:インパクト)」だ。
IMPACTは、4つのレイヤーから構成されている。SIMなどを管理する「接続管理」、デバイスを検出したり、OTA(Over The Air)アップデートを行ったりする「デバイス管理」、デバイスからのデータを収集し、分析を行う「データ収集および処理」、アプリケーションの開発環境である「アプリケーションイネーブルメント」だ。いずれもソフトウェアである。
柳橋氏は、「現在、市場に投入されているIoTプラットフォームは、一般的にアプリケーションの開発環境か、接続を管理するところしか含まれていない。IMPACTは、より包括的な要素を持っているという点で、他社のプラットフォームとは異なる」と述べる。
ノキアは、IMPACTを提供することで、1)同じデータを複数の分野(アプリケーション)で横断的に活用できるサービス、2)データの解析およびその結果のフィードバックを利用するサービス、この2つをユーザーが容易に構築できるようにすることを目指す。
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