エリクソン、5G向け無線システムを2017年に投入:設置サービスの立ち上げも
エリクソンは、Massive MIMOおよびマルチユーザーMIMOに対応する5G(第5世代移動通信)無線装置や基地局を、2017年をメドに市場に投入する予定だ。同社は「世界で初めて、5Gネットワークの構築に必要な全コンポーネントを提供する」と発表している。
5G向け無線システムを2017年にも投入予定
エリクソンは2016年8月31日(スウェーデン時間)、Massive MIMOおよびマルチユーザーMIMOに対応する5G(第5世代移動通信)無線装置などを2017年に市場に投入する予定だと発表した。
今回発表したハードウェア群は、以下の通り。
- Massive MIMOおよびマルチユーザーMIMOに対応した無線装置「AIR 6468」
- 4×4 MIMOに対応した無線装置「Radio 4407」「Radio 4412」
- TDDビームフォーミングに対応する無線装置「Radio 8808」
- 免許不要周波数(5GHz帯付近)に対応したマイクロ基地局用無線装置「Radio 2205」
- 屋外マイクロ基地局用ベースバンド装置「Baseband 6502」
- 広帯域対応の無線装置「Radio 2242」
エリクソンによると、「初期の5Gにおいては、LTEのネットワークの中で特に大きなトラフィック需要が予測されるところに、5Gの新しい無線(NR:New Radio)対応の基地局を追加して実装するイメージだ」という。このNRネットワークと既存のLTEが連携して、5Gのサービスを提供するとしている。5Gで使われる周波数帯はまだ決まっていないが、エリクソンは「周波数帯については柔軟に対応できる。無線装置AIR 6468については、当初はLTEの周波数帯に対応する」としている。
通信速度については、「利用できる無線帯域に依存する」(エリクソン)という。例えば、400MHz帯で利用できれば、最大5G〜10Gビット/秒の通信速度を実現できるとみている。無線部分の遅延時間については、上りと下りの往復で数ミリ秒(最小で1ミリ秒)を目標としている。
設置サービスも
さらにエリクソンは、新規ネットワークの構築をサポートする「Industrialized Network Rollout Services」を立ち上げた。1度のサイト訪問で、装置の設置から設定、統合、試運転、検証を終えたサイトを引き渡すことができるという。エリクソンによれば、同サービスにかかる時間は、サイトの規模にもよるが数時間から半日程度だという。
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