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半導体業界、次なる買収ターゲットは?M&Aの嵐が収まる気配はなく(3/5 ページ)

半導体業界におけるM&Aの嵐は収まる気配がない。2016年も、2015年ほどの数ではないものの、大規模な買収が相次いでいる。では、現時点で買収のターゲットとなりそうな“残っている企業”はどこなのだろうか。

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Maximの行方

 Deutsche Bank(ドイツ銀行)のアナリストは最近、研究レポートの中で、「半導体市場における合併買収が長期にわたり続く要因となっているのは、成長の減速とコストの上昇だ。このため今後も、さらなる合併買収が続くとみられている。こうした中で最も注目を集めているのが、Maxim Integrated(以下、Maxim)だ」と述べている。

 Maximをめぐる買収については、これまでにもさまざまなうわさが飛び交ってきた。


Maximの業績 出典:Yahoo Finance

 IC InsightsのLineback氏は、「MaximはこれまでM&Aの波には参加してこなかった。だが、Texas Instruments(TI)やAnalog Devices(ADI)とは、“買収される対象として”交渉を進めていたともいわれている」と述べる。同氏は「ただし、TI、ADIともに、金額の面から買収合意には至らなかったと考えられる。その後ADIは、Linear Technology(リニアテクノロジー)を148億米ドルで買収すると電撃的に発表した」と語った。

Xilinxの魅力

 半導体業界のM&Aにおいて、最も魅力的だと考えられる買収ターゲットは、Xilinx(ザイリンクス)を置いて他にはないだろう。

 Semico ResearchのFeldhan氏は、「Xilinxは魅力的だ。その理由は、IntelがAlteraを“よい買い物”だと判断したのと同様で、サーバアプリケーションや通信インフラ市場アプリケーションにとって重要となるプログラマブルなファブリックを手掛けている点にある」と説明する。

 Feldhan氏は、「Qualcommはサーバやその他のインフラ製品向けのウェハーテストを行っているため、Xilinxは同社にとって価値がある。しかし、XilinxはAlteraよりも高い買収額を要求すると考えられ、Qualcommは現時点ではその額を投じる準備はないと思われる」と指摘している。

 確かに、Xilinxの時価総額は137億3000万米ドルと非常に高額だ(2016年8月時点)。


Xilinxの用途別売上高の前年比成長率 出典:Xilinx' SEC filings

 Intelは、2015年末にAlteraを167億米ドルで買収し、「データセンターとIoT市場で、FPGAを搭載したプロセッサの開発をリードしていきたい」と語っている。

 IC InsightsのLineback氏は、「プログラマブルロジックは、サーバプロセッサや通信、一部のIoTアプリケーション分野で関心の高い技術だ」と指摘し、「QualcommがIntelのAltera買収に匹敵する買収先を探しているのであれば、Xilinxとの取引は理にかなっている」と述べた。

 同氏は、「Qualcommは同社のSoC(System on Chip)を、IoT機器などの組み込みシステムやサーバに搭載しようとしている。このためQualcommにとってプログラムロジックは欠かせない要素である。とりわけIntelが同様の路線で進んでいくとなると、なおさらQualcommにとって、Xilinxはノドから手が出るほど欲しい存在となるだろう」との見解を示した。

見逃せないLattice

 Lineback氏は、「Xilinxと同じように、Lattice Semiconductor(ラティス セミコンダクター)も魅力的な存在だ」と述べている。

 Reuters(ロイター通信)は2016年2月、「Lattice Semiconductorは、米国の投資銀行Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)に依頼して売却先の候補となるメーカーの情報を集めている。その中には、中国企業も含まれている」と報じた。

 中国政府系の技術企業であるTsinghua UniGroupが、2016年5月に米国証券取引委員会(SEC:Securities and Exchange Commission)に提出した書類(Schedule 13D)によると、Tsinghua UniGroupは、Lattice Semiconductorの発行済み普通株式の約8.65%に当たる1029万5154株を取得している。なお、Schedule 13Dは、公開会社の5%以上の株式を取得した者がSECに提出する報告書である。

 Semico ResearchのFeldhan氏は、「Lattice Semiconductorには、中国とのつながり以外にも利点がある。プログラマブルロジックに特化しているわけではなく、IoTアプリケーションにも長けている。さらに、Xilinxほどハイエンドの製品を手掛けているわけではないので、製品の価格帯もリーズナブルである」と述べている。


製品ライフサイクルにおけるLatticeの収入イメージ (クリックで拡大) 出典:Lattice Semiconductor

 Lineback氏も、「Lattice Semiconductorは、プログラマブルロジック製品ライン以外にASSPを持っている。同社は、2015年にSilicon Imageを約6億700万米ドルで買収してASSPを獲得した。さらに、WiGigに使われるミリ波技術のような次世代ワイヤレスネットワーク向けの接続技術にも通じている」と述べている。

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