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再編が進む半導体業界、TEDが見据える2020年半導体商社トップインタビュー 東京エレクトロンデバイス(1/3 ページ)

2016年になっても収まる気配がない、半導体業界に吹き荒れるM&Aの嵐。この業界再編は、半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。そこで、EE Times Japanでは、各半導体商社のトップに今後の戦略を問うインタビュー企画を進めている。今回は、東京エレクトロンデバイスで社長を務める徳重敦之氏に、同社が掲げる2020年までの中期経営計画について話を聞いた。

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半導体商社は、業界再編の波にどう立ち向かうか

 2015年、半導体業界にはM&Aの嵐が吹き荒れる1年となった――。

 その勢いは2016年になっても収まる気配がなく、ソフトバンクによるARM買収、Analog DevicesによるLinear Technology買収と、業界を揺るがす話題が相次いでいる。この業界再編は、半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。

 そこで、EE Times Japanは、「業界再編の波に、半導体商社はどう立ち向かうのか」と題して、各社トップへのインタビューを進めている。今回は、東京エレクトロンデバイス(TED)で社長を務める徳重敦之氏だ。同社が、中期経営計画で掲げる「VISION 2020」の中から、自社ブランド事業とIoTへの取り組みについて話を聞いた。


急激な為替変動の影響


TED社長の徳重敦之氏

EE Times Japan(以下、EETJ) 最初に、2015年度(2016年3月期)の業績について教えてください。

徳重敦之氏(以下、徳重氏) 2016年3月期の売上高は、前期比5.5%増となる1178億3100万円となった。増収による利益の増加と経費削減に注力し、経常利益は同19.9%増の16億2800万円、純利益は同29.0%増の9億2500万円と増収増益を記録した。半導体業界は2015年に多くのM&Aが行われ、経営の効率化から、販売代理店を減少する傾向にある。幸い、当社はサプライヤーの支持を得られ、業績を着実に伸ばすことができた。

EETJ 2016年度第1四半期業績も発表されました。

徳重氏 売上高に関しては、前年同期比3.4%増となる293億8700万円と増加した一方で、取り扱い製品構成の変化や急激な為替変動の影響を受けたことから、経常利益が前年同期比86.8%減となる7500万円、純利益は同82.4%減の6400万円となった。

 半導体およびデバイス事業(EC事業)は、2015年度第1四半期の経常利益3億7300万円だったのに対して、2016年度第1四半期は経常損失800万円だった。前年のこの時期は、2014年に販売代理店契約を終了したザイリンクスとの取引が一部残り経常利益を押し上げていたが、今期はそれがなくなった。そこに加え、この第1四半期は、急激な為替変動による影響も非常に大きかった。こうした傾向は、第2四半期まで続くだろう。しかし、下半期からは、業績は安定していくと見込んでいる。

EETJ 中期経営計画として、「VISION 2020」を掲げています。

徳重氏 2020年ごろに売上高を2014年度実績1116億6400万円の2倍に引き上げるなどの目標を掲げている。現在は、EC事業が80%、コンピュータシステム関連事業(CN事業)が15%、自社ブランド事業「inrevium(インレビアム)」が5%を占める。

 2020年における売り上げでは、EC事業を60%、CN事業を20%、インレビアムを20%としていきたい。また、中期的にROE(株主資本利益率)10%を目指していく。


同社が中期経営計画として掲げる「VISION 2020」 (クリックで拡大) 出典:TED

 EC事業は、商品・商権の拡充とともに、グローバル展開を進める。日系顧客の海外展開への対応や、海外現地顧客への販売強化などだ。CN事業に関しては、市場の成長が徐々にスローになっているが、データセンター市場を中心に成長が見込めるだろう。

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