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半導体プロセス技術、開発競争が過熱2025年までは28nm FinFETが優勢だが(1/3 ページ)

FinFETの微細化が進む一方で、FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター)にも注目が集まっている。専門家によれば、2025年までは28nm FinFETプロセスが優勢だとするが、それ以降はFD-SOIが伸びる可能性もある。

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2025年までは28nm FinFETが優勢

 FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター)は、現在のところまだ生産量が少ないが、GLOBALFOUNDRIES(グローバルファウンドリーズ)が最近12nmプロセス開発計画を発表したことを受け、今後急激な成長を遂げていくとみられている。米国の市場調査会社International Business Strategies(IBS)のベテラン市場専門家であるHandel Jones氏は、「Samsung Electronics(サムスン電子)や中国・上海に建設予定の新工場が今後、FD-SOIを導入するかどうかが、最も重要な鍵となる」と述べる。

 半導体業界はこれまで、“次なる大きな目玉”にばかり焦点を当ててきた。しかしIBSの予測によると、皮肉なことに、今後2025年までは、使い古されたはずの28nmプロセス技術が最も広く適用される技術になる見込みだという。


2025年までは28nmプロセスが最も広く使われるという 出典:IBS

 IntelやSamsung、TSMCなどの世界最大手の半導体メーカーが導入しているFinFETプロセスは、最高クラスの高性能化と低消費電力化を実現する。しかしJones氏によると、FD-SOIは、FinFETに比べてゲート当たりのコストを16.8%削減できるだけでなく、設計コストやリスピンの必要性のリスクを約25%低減するなど、14nmプロセスと同程度の性能を実現可能だという。


FD-SOIプロセスは、FinFETプロセスに比べてゲート当たりのコストを16.8%低減できるという 出典:IBS

 さらにFD-SOIは、バイアスを動的に加えることによって消費電力を管理できるという性質もある。Jones氏は、上海で2016年9月に開催されたFD-SOI関連のイベントにおいて、「FD-SOIプロセスは、FinFETよりもはるかに高いカットオフ周波数を実現するため、RFでの用途に適している」と話した。「スマートフォン向けアプリケーションプロセッサやモデムでは、10nm/7nm FinFETの代替として、12nm FD-SOIが採用される可能性がある」と述べている。

 同氏は、「もし、12nm FD-SOIを手掛けるメーカーがGLOBALFOUNDRIESだけであれば、最先端プロセス技術全体の約4分の1を占める技術として成長していくだろう。しかし、Samsungが本格的に参入することになった場合は、FD-SOIが14nm/16nm/10nmプロセス関連市場の40〜50%を占める可能性がある。Samsungが今後どう出るかが重要な鍵となる」と指摘する。

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