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半導体プロセス技術、開発競争が過熱2025年までは28nm FinFETが優勢だが(2/3 ページ)

FinFETの微細化が進む一方で、FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター)にも注目が集まっている。専門家によれば、2025年までは28nm FinFETプロセスが優勢だとするが、それ以降はFD-SOIが伸びる可能性もある。

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中国のファウンドリーの動向も鍵に

 もう1つの重要な鍵となるのが、中国である。特に、現在上海に建設中の新しい工場の動きを注視すべきだ。中国のファウンドリーであるHLMC(Shanghai Huali Microelectronics Corporation)は、この新工場を建設するにあたり、中国政府から約58億米ドルの資金提供を受ける予定だという。同工場がどのプロセス技術を採用するのかはまだ不明だが、Jones氏は、「FD-SOIを採用する可能性がある」とみているようだ。

 HLMCの既存の300mm工場のウエハー生産能力は、月産約3万枚だという。同社は、Hua Hongグループのメンバーである。この他のメンバー企業としては、200mmウエハー工場を稼働させているGrace Semiconductorなどがある。

 中国最大規模の工場を保有するSMICは、FD-SOIを導入するつもりはないようだ。同社は、28nmプロセスのPoly/SiON(ポリシリコンゲート/シリコン酸窒化ゲート絶縁膜)と高誘電率膜/金属ゲート(high-K/metal gate)を推進していく考えだという。Jones氏は、「SMICは、主流派を目指す上で正しい選択をしたといえるだろう」と述べている。

 Jones氏は、「TSMCでは既に500人ものエンジニアがFinFET設計の実現に取り組んでいる」と述べ、「複雑なFinFETプロセスでTSMCと競おうとすれば、中国は“多大な損害”を被る可能性がある」と指摘している。

 同氏は、「FinFET、FD-SOI、プレーナ型プロセスがどれくらいのシェアを占めるかを判断するには、少し時期が早すぎる」と述べている。同氏は、有効市場(TAM:Total Available Market)について予測しているが、FD-SOIの市場シェアについては予測を示さなかった。


FD-SOIの2017年における市場規模は、170億米ドルとみられている(クリックで拡大) 出典:IBS

 現在、28nmプロセスを適用したウエハーはひと月当たり30万枚出荷されているが、22nm FD-SOIプロセスのウエハーの出荷枚数は6万〜10万枚である。GLOBALFOUNDRIESが12nm FD-SOIウエハーを顧客向けに提供するのは、2019年以降になるとみられる。Jones氏は、「提供時期を早めるべきだ」と提言している。

 IBSは、「2025年までは、28nmプロセス技術が最も多くのチップに適用されることは間違いない」と予想している。Samsungの経営陣の1人は、前述のFD-SOI関連のイベントにおいて「当面は、28nmプロセスが、トランジスタ当たりのコストが最も低くなると予想される」と述べた。

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