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村田製作所、1.9GHz帯対応のSAWデバイス開発:BAWデバイスよりコスト1/3に
村田製作所は2016年9月20日、これまでSAW(弾性表面波)デバイスでの対応が難しかった1.9GHz帯などで使用できるSAWデュプレクサーを発表した。
SAWエネルギーを低損失に伝搬する独自技術で
村田製作所は2016年9月20日、1.9GHz帯などに対応可能な新型SAW(弾性表面波)デュプレクサー「SAYPEシリーズ」を2017年年初から量産すると発表した。
さまざまな周波数を選別するSAWデバイスは近年、通信の高周波化や周波数帯の近接化に伴い、急峻(きゅうしゅん)で低損失なフィルター特性や安定した温度特性が求められる。これまで、LTEで使用される1.9GHz帯(バンド25)などの周波数帯域でこうした特性をSAWデバイスで実現することは難しかった。
今回、村田製作所は、これまでのSAWデバイスよりも効率的、低損失でSAWエネルギーを伝搬する独自技術を開発。これまでFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)フィルターなどBAW(バルク弾性波)デバイスが用いられてきた1.9GHz帯などにも、使用できるSAWデバイスを実現した。
1.8×1.4mmサイズ
SAYPEシリーズのサイズは、1.8×1.4mm。価格は非公開だが「BAWデバイスを用いた場合よりも、コストを3分の1程度に低減できる」(村田製作所)とする。
同社は「今後も増加傾向にある周波数帯域において、あらゆる周波数帯に対応できるSAWデバイスのラインアップ拡充を図ることができた。今後も市場要求に迅速に対応し、RF回路の小型化、高性能化に貢献していく」とコメントしている。
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