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「SEMICON West 2016」、7nm世代以降のリソグラフィ技術(Samsung編)福田昭のデバイス通信(91)(1/2 ページ)

Samsung Semiconductorの講演では、「ムーアの法則」の現状認識から始まり、同社が考える微細化のロードマップが紹介された。Samsungは28nm世代と10nm世代が長く使われると予想している。さらに同社は、EUVリソグラフィが量産レベルに達するのは2018年で、7nm/5nm世代のチップ製造に導入されるとみている。

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「ムーアの法則」の始まりと終わり

 半導体製造装置と半導体製造用材料に関する北米最大の展示会「SEMICON West 2016」が7月12〜14日に米国カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーンセンター(Moscone Center)で開催された。12日には「FORUM」(フォーラム)と称する併設の講演会があり、専門テーマに関する解説や展望などを数多くの研究者や技術者、経営者などが発表した。

 中でも興味深かったのは、次世代のリソグラフィ技術を展望するフォーラムである。午前中には「Lithography: Charting a Path, or Paths, Between Nodes 10 and 5」と題するフォーラムが、午後には「Node 10 to node 5 - Dealing with the Slower Pace of Traditional Scaling」と題するフォーラムが開催された。本コラムの前々回までは、午前のフォーラムから主だった講演の概要をご報告した。前回からは、午後のフォーラムから主な講演の概要をご紹介している。

 今回は、米国Samsung Semiconductorでファウンダリマーケティング&ビジネスデベロップメント担当シニアディレクターをつとめるKelvin Low氏の講演概要をご報告する。講演タイトルは「End of Moore’s Law or is it just the start of a new journey?」である。

 講演は「ムーアの法則(Moore’s Law)」の説明と現状認識から始まった。ムーアの法則とは、Intelの共同設立者であるGordon Moore氏が1965年に提唱した経験則で、1年で集積回路(シリコンダイ)のトランジスタ数は2倍に増加する、というものだ。1975年には1年で2倍ではなく、2年で2倍にトランジスタ数の増加ペースが改められたものの、その後は現在に至るまで、半導体集積回路の高密度化をけん引する法則としてほぼ、維持されてきた。

 ただし最近では、「ムーアの法則の終わり」が到来しているとの議論が盛んになっている。講演では例えば、1ドル当たりのトランジスタ数が28nm世代で頭打ちになっていること、それから、最先端プロセスを開発する企業が世代ごとに減少していることを挙げて「ムーアの法則」の維持は大きな壁に直面しつつあることを示していた。

 前者については、28nm世代のトランジスタ数は1ドル当たりで2000万であり、40nm世代の1600万から増加したのに対し、28nm世代から微細化した20nm世代では2000万と変わらず、16nm世代では1900万に低下していると指摘した。後者については、130nm世代のシリコンダイを量産していた企業は22社であったのに対し、16/14nm世代ではわずか4社に減少していると述べた。なお、この4社の中の1社がSamsungである。

28nm世代と10nm世代が長期間にわたって使われると予測

 Samsungが考える微細化の技術ロードマップは、PPACS(Power, Performance, Area, Cost and Schedule)を考慮して要素技術を慎重に選択した結果だとした。過去のプレーナプロセスは45nm世代と28nm世代を選択した。次の20nm世代は短命に終わると判断してスキップした。プレーナプロセスのスイートスポットは28nm世代にあり、この世代は長く使われるとみている。

 次のプロセスはFinFETとマルチパターニングによる14nm世代と10nm世代である。その次は7nm世代なのだが、「EUV(極端紫外線)リソグラフィを導入しない7nm世代」は短命に終わると判断しており、スキップする予定である。EUVリソグラフィを導入する手前の世代である、10nm世代が長く利用されると予測する。

 さらに次のプロセスではEUVリソグラフィを導入する。7nm世代と5nm世代が、EUVリソグラフィを量産に導入する世代となる。


Samsungが考える微細化ロードマップ。Samsung Semiconductorの講演スライドから(クリックで拡大)

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