シナプティクス、新たな成長エンジンは車載事業:DDICとTDDIの新製品を発表(1/2 ページ)
Synaptics(シナプティクス)は2016年10月13日、車載システム向けの事業戦略および新製品に関する記者会見を東京都内で開催した。この中で、これからの成長を支える主な事業領域として「生体認証」「タッチアンドディスプレイ」そして「自動車関連」の3分野を挙げた。
ヒューマンマシンインタフェース技術の進化を支える
Synaptics(シナプティクス)は2016年10月13日、車載システム向けの事業戦略および新製品に関する記者会見を東京都内で開催した。
同社は、タッチスクリーンコントロール技術や指紋センサー技術で強みを持つ。2014年10月には、中小型表示ドライバーIC技術で強みを持っていたルネサスエスピードライバ(以下、RSP)の買収を完了。RSPが得意としてきた車載システム向けなど、これから成長が期待できる分野に向けて、新技術と新製品の開発を進めてきた。
シナプティクスでスマートディスプレイ部門のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるKevin Barber氏は会見で、これからの成長を支える柱として「生体認証」「タッチアンドディスプレイ」そして「自動車関連」の3分野を挙げた。
特に、車載システム向け事業は、同社が成長を持続していくための重要な市場と位置付ける。「自動車の出荷台数は、伸び率がそれほど大きくはない。しかし、自動車に搭載されるヒューマンマシンインタフェース技術は進化し、その需要は拡大する」(Barber氏)と話す。調査会社などの予測によれば、DDIC(Display Driver IC)やタッチスクリーン、コックピットコントロールタッチパッドおよび生体認証用デバイスの市場規模は、2016年から2019年までの年平均成長率で17%増加すると見込まれている。
1996年当時の自動車には、運転席を中心に大量の操作用ボタンが取り付けられていた。2016年モデルでは、後部座席も含めてタッチパネル付きディスプレイや計器モニターに変更されるなど、さまざまなヒューマンマシンインタフェースが実装されている。
Barber氏は、「タッチコントローラICとドライバーICを1チップにしたTDDI(Touch and Display Driver Integration)やDDIC、指紋センサーなど、当社のソリューションを提供するチャンスが広がった。その上、当社の強みである統合型ソリューションの提供や質の高い技術が要求されている」と述べた。
特に最近は、車載システムで指紋認証技術への関心が高まっているという。さらに、民生機器分野で培ってきたAR(拡張現実)や、音声/画像認識、ジェスチャコントロール技術なども、自動運転システムを実現するための要素技術として注目されている。こうした新しいヒューマンマシンインタフェース技術について同社は、民生機器などの用途に向けて製品開発を先行させて、その完成度を高める。その上で、車載システムに向けてタイムリーに製品供給できるよう体制を整えていく考えを示した。
車載システムには、新たにDDIC「Synaptics ClearView R6A354」を発表した。色補正(CE)やローカルエリアコントラスト自動最適化(LACO)、外光対応補正(SRE)、6軸の色相調整および白色点の独立補正など、さまざまな画像補正技術を内蔵している。ディスプレイの解像度はHDからフルHDまでサポートしており、画面サイズは最大15型に対応することができる。DDICを複数連結すれば大画面にも対応できるという。
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