シナプティクス、新たな成長エンジンは車載事業:DDICとTDDIの新製品を発表(2/2 ページ)
Synaptics(シナプティクス)は2016年10月13日、車載システム向けの事業戦略および新製品に関する記者会見を東京都内で開催した。この中で、これからの成長を支える主な事業領域として「生体認証」「タッチアンドディスプレイ」そして「自動車関連」の3分野を挙げた。
生体認証市場、年平均成長率は52%
2つ目の成長分野として挙げるのは「生体認証」ソリューションである。指紋センサーを中心とした関連市場は、2016年から2019年までに年平均成長率52%と高い伸びを予測する。その背景には、スマートフォンなどモバイル端末を用いた決済サービスの普及がある。このため同社は、指紋センサーの低コスト化などに取り組むと同時に、より高度なセキュリティを実現する仕組みを提案していく。
「生体認証の方式として、現在は指紋認証が大半を占めているが、これから音声や顔、虹彩など、さまざまな生体認証技術が用いられることになろう」(Barber氏)と話す。
同社は、より高度なセキュリティを実現するためのソリューションも用意している。指紋のテンプレートをセンサー側に内蔵した「Match-in-Sensor」機能や、採取した指紋情報が異なる場合に認証を拒否する「PurePrint Anti-spoofing」などである。
アンダーガラス認証機能に関連する技術ロードマップも示した。最近、厚みが300μm以下のガラスに対応する指紋センサー技術を発表した。今後12カ月以内には厚みが800μm以下のカバーガラスにも対応していく。さらに、24カ月以内を目標にインディスプレイ方式の指紋センサーを提供できるよう開発していることも明らかにした。
ハイブリッドインセルパネル向けTDDIを投入
「タッチアンドディスプレイ」事業で高い伸びを期待するのが、TDDIおよびOLED向け製品群である。2019年までにはスマートフォン用LCDパネルの大半にTDDIが採用され、2020年までにはスマートフォン用ディスプレイとして7億枚を超えるOLEDパネルが出荷されるとの予測がある。こうした中で同社は、ハイブリッドインセルパネル向けに最適化したTDDI「TouchView TD4303」を新たに発表した。これによって、同社のTDDI製品はインセルとハイブリッドインセルの両方式をサポートすることになった。新製品はフルHDの解像度に対応し、機能拡張などが可能な統合RAMを内蔵している。
OLEDパネルに向けては、これまでディスクリートのタッチコントローラを供給してきた。現在、OLED向けのDDICやTDDI、指紋認証機能などの開発投資も行っているという。将来はこれらの機能を統合したOLED向けソリューションを提案していく考えだ。
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