ニュース
組み込み機器側に学習機能を搭載、高精度に推論:ディープラーニング
三菱電機は、組み込み機器に実装できる「ディープラーニングの高速学習アルゴリズム」を開発した。「コンパクトな人工知能」と組み合わせることで、車載機器や産業用ロボット側に学習機能を搭載することができ、より高精度の推論を行うことが可能となる。
事前の学習時間とメモリ量を約30分の1に削減
三菱電機は2016年10月、組み込み機器に実装できる「ディープラーニングの高速学習アルゴリズム」を開発したと発表した。同社が開発した「コンパクトな人工知能」に、このアルゴリズムを導入することで、車載機器や産業用ロボット側に学習機能を搭載することができ、より精度の高い推論を行うことが可能となる。
新たに開発したディープラーニングの高速学習アルゴリズムは、推論処理に必要な事前の学習時間とメモリ量を大幅に節減できるという。2016年2月に同社が発表した「コンパクトな人工知能」と組み合わせると、従来に比べて学習時間とメモリ量をそれぞれ約30分の1に削減することが可能になる。このため、組み込み機器へ容易に搭載できる。しかも、組み込み機器側に学習機能を持たせることで、より高精度な推論処理を実現できる。
一般的にこれまでのディープラーニングは、サーバやGPU搭載の高性能なCPUボードなどに実装され、学習時間もドライバーの顔認証を行う用途では数時間要していた。これに対して、今回開発したアルゴリズムを用いると、組み込み機器や汎用コントローラに実装されたCPU性能でも、学習時間は数十秒〜数分で済むという。人工知能の導入コストも大幅に削減することができるため、活用範囲の拡大が可能となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 専門知識がなくても大丈夫、AI設計を自動化
三菱電機は、ディープラーニングを自動設計できるアルゴリズムを開発した。人工知能(AI)の専門知識がなくてもディープラーニングの設計を短期間で行え、AIの導入コストを低減することが可能となる。 - 演算量は従来の10分の1、コンパクトな人工知能
三菱電機は、車載機器や産業ロボットなどに搭載できる「コンパクトな人工知能」を開発した。演算量を従来の10分の1に削減しても、従来と同等の推論結果が得られる機械学習アルゴリズムを開発したことで実現した。 - 未来社会に貢献、三菱電機が研究成果披露
三菱電機は、研究開発成果披露会で、24件の成果を紹介した。同社は、「研究開発の成果は成長戦略を推進していくための要」と位置付ける。 - 80%の精度で混雑状況を予測、三菱電機が開発
三菱電機は、最寄り駅からイベント会場などへ向かう経路の混雑状況を高い精度で予測する「リアルタイム混雑予測技術」を、東京大学西成研究室と共同で開発した。 - ディープラーニングの学習で「世界最高速度」実現
富士通研究所は2016年8月9日、スーパーコンピュータのソフトウェア並列化技術を応用し、複数のGPUを用いてディープラーニングの学習速度を高速化するソフトウェア技術を開発したと発表した。 - Googleが語る、ニューラルネットワーク
Googleのシニアフェローは「SIGMOD 2016」で、ニューラルネットワークや機械学習について語った。コンピュータリソースやデータ量は十分にあるので、あとは“そのデータをいかに理解するか”が重要だという。