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「SEMICON West 2016」、imecが展望する5nm世代の配線技術(後編)福田昭のデバイス通信(95)(1/2 ページ)

前回に続き、5nm世代のロジック配線プロセスを展望したimecの講演を紹介する。後編となる今回は、微細化に対応して配線抵抗(R)と配線容量(C)を最適化する方法について解説する。

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配線抵抗と配線容量を最適化して5nm世代に対応

 前回は、「SEMICON West 2016」の講演会「FORUM」(フォーラム)から、ベルギーの研究開発機関imecによる5nm世代のロジック配線技術を展望した講演をご紹介した。今回はその後編である。

 繰り返しになるが、講演タイトルは「Interconnect Technology Challenges and Future Direction」、講演者はimecでPrinciple Member of Technical Staff and BEOL Integration ManagerをつとめるChristopher J. Wilson氏である。

 前編では、配線を微細化していったときに、配線のパラメータ(抵抗(R)、容量(C)、RC積)がどのように変化していくかを、10nm世代から7nm世代、5nm世代へと予測した。その結果、既存の配線技術、すなわち銅(Cu)を主材料とする配線と低比誘電率(2.5)の層間絶縁膜の組み合わせでは、微細化に対応できないことが明確になった。

 後編である今回は、微細化に対応して配線抵抗(R)と配線容量(C)をそれぞれ最適化する技術をご紹介する。

エレクトロマイグレーション耐性と低抵抗化を両立させる

 はじめは配線抵抗(R)の最適化である。まず前提として存在する事実は、銅(Cu)配線が微細化で適用できなくなる理由は、配線抵抗の上昇ではなく、エレクトロマイグレーションがひどくなることだ。もちろん、Cuの結晶品質が低下することによって配線抵抗が上昇する恐れは高まる。だが副次的な要因である。主な要因はエレクトロマイグレーションの悪化であり、配線抵抗ではない。この点には注意が必要だ。

 Cuに換わる配線金属元素は、エレクトロマイグレーション耐性を向上させることを主な目的として選ばれている。ルテニウム(Ru)とコバルト(Co)が現在の有力候補である。電気抵抗率で比べるとCuが1.68μΩcm(室温)であるのに対し、Ruの抵抗率は7.6μΩcm(273K、0℃)、Coの抵抗率は5.81μΩcm(室温)と、かなり高い。従って同じ断面寸法だと、Cu配線よりも配線抵抗が高くなってしまう。

 そこで配線抵抗を減らすために、断面のアスペクト比(厚みと幅の比率)を上げる。具体的には、厚みを増やす。アスペクト比(AR)を上げることで、ようやく、配線抵抗(R)をCuよりも低く抑えている。

 ただしARが高くなると、配線容量(C)が上昇する。この点には配慮しなければならない。


銅とルテニウム、コバルトによる配線抵抗の比較。左はルテニウム(Ru)と銅(Cu)の比較、中央はコバルト(Co)と銅(Cu)の比較。右は配線断面の寸法仕様。imecの講演スライドから(クリックで拡大)

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