100Gbpsの光通信を実現するレーザーダイオード:ルネサスが発表
ルネサス エレクトロニクスは、データセンター内に設置されるサーバとルータ間の通信に用いられる100Gビット/秒(bps)光トランシーバ用光源に、25Gbps×4のレーザーダイオードを発表した。
IoT時代のデータセンター向け
ルネサス エレクトロニクスは2016年10月25日、データセンター内に設置されるサーバとルータ間の通信に用いられる100Gビット/秒(bps)光トランシーバー用光源に、25Gbps×4波長対応直接変調型DFB LD*)を「NX6375AAシリーズ」を発表した。
*)DFB LD(Distribution Feedback Laser Diode):LD素子内部に回折格子構造を持ちシングルモード発振を特長とするレーザーダイオードである。
同製品は、「業界初」となる−5〜85℃の動作温度範囲で、1波長当たり最大28Gbpsまでの安定した動作に量産レベルで成功した。4波長使用での100Gbpsシステムだけでなく、112Gbpsシステムも対応可能。LD素子の埋め込み構造と材料にAlGaInAs(アルミニウム ガリウム インジウム ヒ素)を採用し、DFB構造を最適化したことで実現したという。
また、MTTF(平均故障時間)10万時間も特長だ。ウエハーの結晶成長において狭幅選択成長技術を用い、発光層の結晶欠陥を抑制しAl(アルミニウム)酸化防止層を形成する。これにより、製造中にAlの酸化を抑制できるため、高信頼性を確保できている。
同製品の波長は、CWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing )方式の波長間隔に対応し、1271nm、1291nm、1311nm、1331nmの4種類をラインアップしている。チップでの出荷となり、サンプル価格は1波長当たり5000円(税別)。量産は2017年4月に開始予定であり、4波長合計で月産10万個を計画しているとする。
同社はリリース上で、「今後は、100Gbps高速光通信用の製品ラインアップを拡充する計画である。レーザーダイオードの開発では、無線基地局用途などに必要とされる動作温度範囲に対応するため、低温側の動作温度拡大を検討している」と述べている。
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