ASML、次世代EUV装置に19億米ドルを投資:2024年量産開始を目指して
半導体製造装置メーカーのASMLは、2017年出荷予定の第1世代EUV(極端紫外線)リソグラフィ装置の後継となる次世代EUV装置の開発計画を明らかにした。2024年ごろの量産を目指し、約19億米ドルの投資を行うという。
多額の投資にみる「ASMLの自信」
オランダのリソグラフィ装置ベンダーであるASML Holdingsは、初のEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置の出荷を前に、期待を集める後継機の開発計画を明らかにした。ASMLは、ドイツの光学機器メーカーCarl Zeissの子会社であるCarl Zeiss SMTに投資して、開口数(N.A.)が0.5以上のEUV装置を共同開発する計画だという。ただし、量産は2024年ごろになるという。
ASMLは、この新たな取り組みの一環として20億米ドル近くを投じる計画だという。Carl Zeiss SMTの株式の24.9%を約11億ドルの現金で取得する他、共同研究開発プロジェクトに約2億4400万米ドルを出資し、設備などの必要コストとして6年間で6億米ドルを投じるという。
この契約からも、ムーアの法則の継続に要するコストが上昇し、技術が複雑になっていることが分かる。
開口数0.5以上、最小加工寸法8nmへ
現在、最先端チップの最小加工寸法は35nmである。第1世代のEUV装置は、0.33N.A.の光学レンズを用い、最小加工寸法は約13nmだという。0.5N.A.のEUV装置は、約8nmの高精細露光が可能だという。
ASMLが計画するEUV装置採用半導体メーカー数を示した資料。星印の数が、EUV装置を生産ラインに導入する半導体メーカー数を示している。表中、右端の白抜きの星印は、次世代EUV装置の導入時期を示している (クリックで拡大) 出典:ASML
米国の市場調査会社であるVLSI Researchで市場調査部門のプレジデントを務めるRisto Puhakka氏は、「これまでサプライチェーンのどの企業の株式にも直接投資していなかったASMLが、非常に多額の株式投資に踏み切った。新EUV装置の開発はリスクを伴うが、多額を投じる決断からASMLの自信が垣間見られる」と述べている。
2018年にも第1世代EUV装置でのチップ量産へ
ASMLは、第1世代のEUV装置が量産に使用できるレベルまでほぼ完成していることも明らかにした。同社は、「2018年には、現行技術のEUVスキャナーで製造されたチップが当社の顧客の製造ラインから出荷される見通しだ」と述べている。
ASMLは、第1世代のEUV装置「NXE:3400B」を2017年に出荷するとしている。同装置は1時間当たり125枚のウエハーを生産可能で、3nm以下のオーバーレイ精度を実現するという。ASMLはこのほど開催されたアナリスト会議で、論理回路メーカー4社とメモリチップメーカー2社が0.33N.A.のEUV装置による製造を2018年中に開始すると公式に表明していることを明らかにした。
ASMLによると、0.5N.A.の次世代EUV装置は、1時間当たり最大185枚のウエハーを生産でき、2nm以下のオーバーレイ精度を実現するという。同社は、0.33N.A.のEUV装置のアップグレード版の出荷も計画していて、同装置は1時間当たり145枚のウエハーの生産が可能だという。
【翻訳:滝本麻貴、 編集:EE Times Japan】
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