NXP、トラックプラトーニングを推進:electronicaで自動隊列走行(1/2 ページ)
NXP Semiconductorsは、電子部品の展示会「electronica 2016」(2016年11月8〜11日)で、2台以上のトラックを電子的に連結し、隊列走行させる「プラトーニング」のデモを実施している。
無線で連結されたトラックの隊列
NXP Semiconductorsは、「トラックプラトーニング」(truck platooning)が自動走行のメリットを示すのに最適な手段であると確信している。同社は、“デジタルキャラバン”(デジタル技術を用いた車の隊列)を、自動走行技術と同技術の実世界への応用における近年の進歩を示す方法として見なしている。
NXPとそのパートナー企業は、2016年11月8日から開かれている電子部品の展示会「electronica 2016」(ドイツ・ミュンヘン)において、トラックプラトーニングを実演する。実演場所はミュンヘンの路上だ。
プラトーニングとは、2台以上のトラックを電子的に連結させることで、先頭のトラックの加速やブレーキといった動作を後続のトラックに即座に伝達し、その動きを導くという手法である。この手法により、自動走行するトラック同士の車間距離が縮まるばかりか、燃料効率や安全性が大幅に向上するという。
トラックプラトーニングを実現するのに不可欠な構成要素として、適応走行制御(ACC)、V2V(Vehicle to Vehicle)通信システム、高度なレーザーが挙げられる。
NXPの自動走行車事業部門で最高技術責任者(CTO)を務めるLars Reger氏がEE Timesに語ったところによると、NXP、DAF Trucks、TNO、Ricardoは、2016年初めに行われた走行実験「European Truck Platooning Challenge」で、わずか0.5秒間隔でトラックを走らせるという画期的な成果を挙げたという。
具体的には、この実験では、トラックの隊列が11mの車間距離を維持したまま、時速80kmで走行した。
実質的には、隊列は1つの長いユニットのように移動し、全てのトラックは無線でつながっている。V2V通信システムと高性能カメラを用いることにより、最後尾のトラックは先頭トラックのフロントガラスに取り付けられたカメラの視野を見ることができる一方、先頭トラックは隊列の最後部の“車掌車”の後ろを見ることができる。
NXPによると、隊列に他の車が進入してきた場合でも、トラックに搭載された高度なレーダーがそのような進路妨害を検知し、途切れなく隊列を調整するという。
燃費向上にも貢献
V2Vにアクティブセーフティシステムとブレーキ同調機能を組み込んだことで、狭い車間距離でも安全性を高めることができた。だが、プラトーニングでは燃費も重要な要素となる。
トラックを狭い車間距離で一緒に走行させると、燃費が大きく違ってくることが分かっている。例えば、隊列を組んで走る5台のトラックがあるとする。隊列を組むと、先頭トラックでは2%、2台目と3台目では11%、4台目と5台目では9%、それぞれ燃料を節約できるという。
NXPによると、NXP、DAF Trucks、TNO、Ricardoが参加するコンソーシアムは現在、2017年中に、時速80kmで走行するトラックの車間距離を7mにまで縮めることを目指しているという。
NXPは「それを達成するには、プラトーニングシステムは、人間のドライバーより30倍も確実に反応できるようになる必要がある」と説明した。つまり、V2X通信をミリ秒以内で行い、遅延を半減しなくてはならないということだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.