NXP、トラックプラトーニングを推進:electronicaで自動隊列走行(2/2 ページ)
NXP Semiconductorsは、電子部品の展示会「electronica 2016」(2016年11月8〜11日)で、2台以上のトラックを電子的に連結し、隊列走行させる「プラトーニング」のデモを実施している。
未来の技術ではなく、現実の技術へ
プラトーニングは一般人には未来のことのように思えるかもしれないが、その技術は既に存在している。トラックの自動走行を実現するには、乗り越えなければならない規制面の障害はあるものの、消費者が無人走行車を使うのに比べるとハードルは低い可能性がある。
規制機関や市場はトラック業界に対して、効率性と安全性を高めるように常に圧力をかけている。一方、米国とヨーロッパでは規制の改定が進んでいる。具体的には、ドライバーの就業時間(運転時間や休憩時間)に関する規制が改定されたり、電子ロギングの義務付けが導入されたりした他、米国ではトラックの速度を制限する技術の使用を義務付けることが提案されている。
NXPのReger氏は、自動走行車を早期に導入するのは、「商業面で強い圧力をかけられている領域」であると分析した。
Reger氏は「当社がUberやLyftの自動走行車に大きな関心を抱いている理由はそこにある」と明言した。実際、Uberは2016年8月に米国ペンシルバニア州ピッツバーグで無人タクシーを発表した他、Fordは最近、相乗り(ライドシェア)用のハンドルのない自動走行車を2021年に発売する計画を明らかにした。
燃費や安全性といった商業的な利点が既に示されていることから、トラックプラトーニングは次に来るものになる可能性がある。だが、Reger氏は、規制を微調整する必要性を指摘した。現在の規制では、トラックには50mの車間距離が必要だが、自動走行トラックのプラトーニングでは既に11mという車間距離を実現している。
Reger氏は社会経済の影響を十分に認識している。プラトーニングが実質的にトラック運転者の仕事を奪うかと問われ、同氏は「業界は10〜15年も前からトラック運転手の不足を予測していた」と述べた上で、トラック運転手はロジスティクスの専門家になり得るとの可能性を示唆した。
NXPのプラットフォーム「BlueBox」
隊列を組んで走行するトラックに搭載されたNXPのチップには、安全な作動を確保するためにプラトーニングを監視するセンサーフュージョンや制御システムが組み込まれている。NXPは「外的な危険が発生したり、内部システムに不具合が起きたりした場合でも、車列は安全を保障する形で走行する」と主張した。
このシステムは、プロセッサ「S32V234」などから成るNXPのプラットフォーム「BlueBox」をベースとしている。
electronicaでは、NXPは「S32R27」という高性能のレーダーマイクロコントローラーも発表する予定だ。同社は、S32R27の電力当たりの性能は、旧モデルの「MPC577X」に比べて4倍も高まったと主張する。さらに重要なことには、S32R27は機能的安全性の最高レベルである「ASIL-D」として認可されたセキュリティレベルを備えている。
NXPは、S32R27の性能の高まりによって「衝突防止、車線変更アシスト、自動緊急ブレーキ、全周囲監視レーダーといったアプリケーションの精度や安全性は向上する」と説明した。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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