4K HEVC対応コーデックLSIなどを開発:実演デモも展示(1/2 ページ)
ソシオネクストは、4K/8K映像配信機器向けの映像信号処理LSIやソリューションを発表した。これら専用LSIと組み合わせ、次世代のハイブリッドコーデック技術に対応するためのマルチコアプロセッサも開発中である。
次世代のハイブリッドコーデックにも対応
ソシオネクストは2016年11月10日、4K/8K映像伝送機器向けの映像信号処理LSIやソリューションを発表した。また、これらの専用LSIと組み合わせ、次世代のハイブリッドコーデック技術に対応するためのマルチコアプロセッサも開発中である。
4K/60p HEVC対応のマルチフォーマットコーデックLSI「MB86M30」は、映像圧縮技術「HEVC/H.265」に加えて、従来の「AVC/H.264」や「MPEG 2」などの方式も含め、映像/音声データのエンコードやデコード、トランスコードといった映像信号処理機能を1チップに集積している。2015年4月に発表したリアルタイムビデオエンコーダーLSI「MB86M31」のエンコード機能をブラッシュアップしつつ、機能強化を図った製品となる。
実装しているHEVC/H.265対応のエンコーダーコアは、富士通研究所と共同開発した。MB86M30はマルチチップモジュール構成となっており、4個の8GビットLPDDR4メモリが実装されている。消費電力は汎用の高性能CPUによるソフトウェア処理に比べて1/50に削減できるという。HDR(High Dynamic Range)映像にも対応できる。
遅延時間が小さいのも同社製品の特長だ。MB86M30は、HEVC/H.265エンコードを10ミリ秒の遅延時間で処理することができる。また、圧縮効率が2倍となり、衛星中継器の帯域を有効に利用できることから、従来の半分のコストで高画質の映像を配信できるという。「投稿系動画など、インターネット利用の動画配信も急増しており、通信環境を有効に活用できるようになる」(同社)と話す。なお、MB86M30は2016年11月末より量産出荷を始める。
8K映像によるライブ放送やVRなどの用途に注目
また、MB86M31などを実装した小型ボードサイズのモジュール1個で、8K/60p映像のHEVC/H.265方式リアルタイムエンコード処理を可能とするソリューションも発表した。ソリューションにはファームウェアなども含まれており、PCやサーバに内蔵して用いる。放送機器メーカーなどに対して、2016年12月末より提供を始める予定だ。
このソリューションに適用できるハードウェアとして、PCIeボードサイズのAdvantech製モジュール「VEGA-3304」が用意されている。VEGA-3304には、MB86M31が4個実装されている。4個のLSIを協調動作させることで、8K/60p映像のリアルタイムエンコード処理を可能とした。消費電力は最大75Wである。今後は、MB86M30を用いたソリューションも用意していく計画だ。
「8K HEVCリアルタイムエンコーダーソリューションは、8K映像によるライブ放送や手術映像の伝送、VR(バーチャルリアリティー)システムにおける高精細映像の合成/配信など、従来の放送分野以外の用途でも注目されている」(同社)という。
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