4K HEVC対応コーデックLSIなどを開発:実演デモも展示(2/2 ページ)
ソシオネクストは、4K/8K映像配信機器向けの映像信号処理LSIやソリューションを発表した。これら専用LSIと組み合わせ、次世代のハイブリッドコーデック技術に対応するためのマルチコアプロセッサも開発中である。
Cortex-A53コアを24コア集積したプロセッサ
同社はこれらの専用LSIと組み合わせ、次世代のハイブリッドコーデック技術に対応するためのマルチコアプロセッサ「SC2A11A」も紹介した。2017年7月のリリース開始を目標に開発を進めている。
SC2A11Aは、24個のARM Cortex-A53コアを集積した。動作周波数は1GHzで、消費電力は最大5Wである。セキュリティ機能を向上するため、ARMの「TrustZone」技術に加え、独自の「Opal」技術も採用している。
SC2A11Aは、データセンターのサーバシステムや、IoT(モノのインターネット)分野のエッジコンピュータなどの用途に向けて開発した汎用プロセッサ。今回はハイブリッドメディアトランスコーダーを実現するため、MB86M30と組み合わせたソリューションを提案した。フルHD/30フレームの映像であれば、1個のSC2A11Aで8本のストリームを出力できる処理能力を持つという。
「当社は基本的にハードウェアによるコーデックソリューションを提供してきた。ところが、データセンターなどではフリーソフトウェアのFFmpegなど、コーデック用フリーソフトウェアが利用されているケースも多い。従来システムとの互換性を保つため、ソフトウェア処理にも対応できるハイブリッドコーデックへの対応は不可欠」(同社)と判断し、SC2A11Aと専用LSIを組み合わせたソリューションも用意した。
なお、新製品説明会会場では、MB86M30によるHEVCエンコードシステムや、8K HEVCリアルタイムエンコーダーソリューションを用いたシステム、ハイブリッドメディアトランスコーダーを利用した映像配信システムなどの実演デモを行った。
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