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次世代Snapdragon、Samsungの10nmプロセスを適用Qualcommのモバイル向けSoC

Qualcommは、同社のSoC(System on Chip)「Snapdragon 835」に、Samsung Electronicsの10nmプロセスを適用すると発表した。QualcommはSamsungとの間で、ファウンドリー契約を10年延長している。

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「Snapdragon」に10nmプロセスを適用

 Qualcomm(クアルコム)は、同社の次世代モバイルSoC(System on Chip)「Snapdragon 835」を、Samsung Electronics(サムスン電子)の10nmプロセスを適用して製造すると発表した。ただし、Qualcommは今回、新型チップに関する他の詳細内容については明らかにしていない。

 QualcommにとってSnapdragon 835は、10nmプロセスを適用した最初のモバイルSoCとなる。最近では、Appleが次世代スマートフォン「iPhone 8」(仮称)用チップにTSMCの10nmプロセスを適用すると報じられている他、MediaTekも、同社初となる10nm SoCを間もなく提供すると発表しているが、Snapdragon 835は、これらのライバル企業を打ち負かす存在となるだろう。今後、ハイエンドスマートフォン市場において利益獲得をめぐる競争が激化し、半導体プロセス技術開発が加速していく見込みだ。

 Qualcommは、SnapdragonやLTE、関連するモバイルチップなどのセキュリティ欠陥を発見した技術者に対し、最大1万5000米ドルの賞金を授与する予定だという。さらに同社は、ワイヤレス給電技術のアップグレードも発表している。

10nm Snapdragon搭載品は2017年前半に登場か

 Qualcommは現在、Snapdragon 835の製造を開始していて、2017年前半にはこれを採用した市販デバイスが出荷される見込みだとしている。

 QualcommはSamsungとの間で、ファウンドリー契約を10年延長した。これにより、既存のSnapdragonのいくつかで、Samsungの14nmプロセスを適用することになる。

 Samsungは2016年10月に、10nm FinFETプロセスチップの量産を開始したと発表している。業界観測筋はこの時、Samsungが、2017年初めに発表予定の次世代スマートフォン「Galaxy 8」向けにSoC「Exynos」を開発したとみていた。

 Samsungは、「10nmプロセスの適用により、14nmプロセスと比べて面積が最大30%縮小された他、性能は27%向上し、消費電力は40%低減した」と述べている。

セキュリティ技術の強化も

 Qualcommは、HackerOneとの協業により、SnapdragonやLTE、関連するモバイルチップのセキュリティ欠陥を発見した技術者に対して、1つの欠陥につき最大1万5000米ドルの賞金を授与する予定だという。

 当面の間、このプログラムの対象者は、これまでに脆弱(ぜいじゃく)性に関する情報を開示した実績を持つ約40人のセキュリティ研究者たちに限定されることになる。HackerOneは、間もなく実施予定のプログラムへの参加方法に関する情報を、オンラインで提供している。

 Qualcommでエンジニアリング担当バイスプレジデントを務めるAlex Gantman氏は、「当社製品のセキュリティ向上の大部分は、社内での取り組みによって実現しているが、脆弱性に関する報奨金プログラムは、当社の幅広いセキュリティ関連の取り組みの中でも重要な意味を持っている」と述べる。

ワイヤレス給電技術もアップグレード

 Qualcommは今回、さらなる性能向上を実現した高速充電機能「Quick Charge 4」についても発表している。Snapdragon 835に採用される予定で、既存技術と比べて20%の高速化を実現するデュアルチャージ技術を採用し、USB Type-CおよびUSB-PD規格をサポートするという。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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