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飛び込みにまつわる「6つのなぜ」に新たな仮説が続々?世界を「数字」で回してみよう(36) 人身事故(3/10 ページ)

今回は、「なぜ7月に飛び込みが多いのか」「なぜ火曜日に飛び込みが減るのか」など、私が仮説立案できなかった6つの疑問に対して、読者の皆さまが寄せてくださった仮説の中から、私のハートにヒットしたものを紹介したいと思います。後半では、小田急線の人身事故に巻き込まれた人々の実際のTwitterを分析してみました。

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(疑問2)なぜ、火曜日に「飛び込み」が減るのか?

 読者の方から、『このグラフは差分だけが強調されているが、有意な差といえるのか』との指摘を受けておりましたので、重回帰分析のF検定を実施し、相関関係を棄却できる(有意な差である)ことを確認しています。

 また、『一般の自殺が、月曜日から徐々に自殺数が減るのは、2015年だけでなく、通年の事例か?』との指摘も受けましたので、市民図書館で過去4年の自殺対策白書を読み漁ってきました(証拠の写真)。その結果、通年の事例であることが分かりました。前述のオーストラリアの白書においても、この傾向を確認していますので、「希望で始まり絶望で終わる週末」は、世界共通の傾向であるといえそうです。

 アンケートに応じていただいた皆さんの仮説はこちらです。その中でも、江端のハートにミートした、以下の2つの仮説を紹介しましょう。

 読者の皆さんにお願いしているのは仮説だけ(「検証」なんか不要)なのですが、その中でも、この疑問に対して、私のハートに火をつけた、「ワンフレーズで言い切れる仮説」は上記の2つだけでした。

 "ハッピーマンデー"仮説は、通常の週末とは異なり、3連休であれば「希望で始まり絶望で終わる週末」を回避できる、という斬新な説です。

 わが国の労働時間短縮の施策の効果は芳しくないようです。野党でも与党でもいいので、企業や官公庁の有休制度を撤廃して、土日に加えて月曜日も休日にするという「週休3日制度」を導入を公約に掲げ、政権奪還/維持を図るというのも面白いと思います。

 "異種自殺動機"仮説は、月曜日の自殺と火曜日の自殺では、その自殺の「性格」が違うのではないかという、これまた斬新な仮説で、月曜日は「出社逃避」が発動し、火曜日以降は「ノルマ逃避」が発動する、というものです。、皆さんも、月曜日とそれ以外の曜日の「性質」の違いには、うすうす気がついているのではないかと思います。

 私も、この『火曜日に「飛び込み」が減る』理由をデータからアプローチできないものかと、国土交通省から提供してもらったデータを、もう一度、見直してみたところ、意外な事実が分かってきました。

 月曜日の午後2時に強いピークが観測されています(特徴1)。これは、他の曜日には現われない珍しい現象です(それにしても、この時間なら、普通のサラリーマンや学生は、箱(会社や学校)の中にいますよね*))。

*)ちなみに、嫁さんから、『「その人たちが、出社拒否や登校拒否していた」というデータはないの?』と言われましたが ―― そんな都合のよいデータがホイホイと手に入るわけありません。データアナリストは、魔法使いではないのです。

 その一方で、月曜日だけは、「飛び込み」が多いとされている午後8時にピークが現われないという、驚がくの事実を発見しました(特徴2)。

 そして、翌日の火曜日は、他の曜日には見られない朝の5時のピークが観測され、その後は、全時間帯において、一週間の中で、最も少ない「飛び込み」数を維持し続けます(特徴3)。これは、前日(月曜日)の夜8時の「飛び込み」を、翌日(火曜日)の午前5時に持ち越したようにも見えます。

 つまり、月曜日と火曜日は分離して考えるのではなく連続した一体の時間体と考え、火曜日は、―― 終わらない月曜日 ―― として考えると分かりやすそうです。

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