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飛び込みにまつわる「6つのなぜ」に新たな仮説が続々?世界を「数字」で回してみよう(36) 人身事故(9/10 ページ)

今回は、「なぜ7月に飛び込みが多いのか」「なぜ火曜日に飛び込みが減るのか」など、私が仮説立案できなかった6つの疑問に対して、読者の皆さまが寄せてくださった仮説の中から、私のハートにヒットしたものを紹介したいと思います。後半では、小田急線の人身事故に巻き込まれた人々の実際のTwitterを分析してみました。

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持っているモノなら何でも使い倒すべし

 それでは、今回のコラムの内容をまとめてみたいと思います。

【1】前回のコラムで私が仮説立案に全滅した6つの疑問に関する、読者の皆さんからの仮説をご紹介しました。

【2】(疑問1)なぜ、飛び込み自殺は7月がピークとなるのか、については、誕生日に自殺を選択しやすいという"ブルーバースデー"仮説を、出生率と併わせた仮説として展開しました。

【3】(疑問2)なぜ、火曜日に「飛び込み」が減るのかについては、"ハッピーマンデー"仮説、"異種自殺動機"仮説の他、江端による「終わらない月曜」仮説を展開しました。その他の4つの疑問についても、各論毎に仮説を紹介しました。

【4】最終的に、これらの仮説の立案が、現在の「飛び込み自殺」の問題を解決するアプローチになり得るかという自問に対して、何の役にも立ちそうにない、という身もフタもない結論を述べました。

【5】2016年10月26日の午前7時35分ごろ、小田急小田原線狛江駅に発生した人身事故について、事故の巻き添えを食らった人のTwitterのメッセージの分析を行いました。その結果、(1)飛び込み自殺等の人身事故や鉄道会社をディスるメッセージが驚くほど少なかったこと、(2)メッセージの大半が、他人のメッセージを拡散するリツイートメッセージであったことが分かりました。

【6】また、"人身事故"、"飛び込み"、"死ね"などのキーワードを使って、Twitterメッセージの特徴およびメッセージを発信する人の簡単な人格分析を試みました。


以上です。


 私は、この連載シリーズ、「人身事故を「数字」で回してみよう」の第1回で、以下のように申し上げました

 私は今回の連載において、今のところ、自殺の是非の問いかけや、自殺を回避する提言、生きることの意義、国の自殺対策の批判などを、展開する予定はありません。また、「世の中を明るくしよう」とか「人生を有意義に生きよう」などと主張する気持ちは、1pm(ピコメートル、10のマイナス12乗、1兆分の1メートル)足りともありません。

 そんなことは、私にとってはどーでもいいことです。

 この連載は、私が日常的にむりやり遭遇させられる「人身事故」という現象を、数字という1つの手段を用いて、(もっぱら私自身が)納得することのみを目的としております。

 現時点に至るまで、この主張は一貫しており、私はこのコラムの中で、公人私人、ありとあらゆるものに対して、一切の批判も非難もしていないつもりです。

 読者の皆さんが、私のこの連載コラムをどのように感じているのか知りようもありませんが、私自身は、この連載によって、鉄道の人身事故に対して、かなり気持ちがラクになってきました

 さまざまな方向から、自分なりの分析や解析を続けてきた結果、この「飛び込み」による人身事故の全体像が俯瞰できるような感じがして、少し心の余裕が出てきたように思えるのです。

 たとえ、この「飛び込み」の人身事故の解決策につながらなくとも ―― その問題をいろいろな方面から把握し、自分なりに理解を試みるだけのことでも、(他人はどうあれ)、自分自身をラクにしてくれると、私は思っています。

 それに、私たちは、ある意味、良い時代に生きていると思います。

 インターネットからお願いすれば、官公庁が大量のデータを提出してくれますし、Twitter APIを使い倒せば、赤の他人の発言の過去ログも読みまくりですし、数万行のテキストを、数秒で解析してくれるPCやソフトウェアもあります。

 これだけのモノ(ネットワークやコンピュータ)を、動画の閲覧や、つぶやきメッセージの送受信や、ゲーム機として使うだけでは ―― 本当にもったいないと思います。

(謝辞)

今回のテキスト分析では、NTTデータ数理システムのテキストマイニングツール「Text Mining Studio(TMS)」を利用させていただきました。


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