FOWLP向け大型パッケージ基板対応のダイシングソー:SEMICON Japan直前取材
ディスコは、「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日/東京ビッグサイト)で、TSMCの「InFO」で注目を集めるFOWLP(Fan-Out Wafer Level Package)の生産ニーズに応えるべく、大判パッケージ基板に対応したダイシングソー「DFD6310」などを展示する。
TSMCの「InFO」で注目を集めるFOWLP
2016年12月14〜16日、マイクロエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2016」が、東京ビッグサイトで開催される。EE Times Japanでは、同展示会の開催に先駆けて、出展企業に展示する内容の事前取材を進めている。
今回は、同年12月1日に発表したダイシングソー「DFD6310」など29台の実機を展示するディスコに聞いた。DFD6310は、FOWLP(Fan-Out Wafer Level Package)の需要拡大に向けた、大判パッケージ基板対応ダイシングソーとなっている。
FOWLPとは、TSMCがAppleのiPhone向けプロセッサに、FOWLPの1つである「InFO(Integrated Fan Out)」を採用したことで、需要拡大が進むパッケージ技術である。ディスコのダイサ・グラインダマーケティングチームで主任を務める増地純郎氏によると、従来のBGAと比較して、大幅な小型・薄型化が可能になるのが特長。コストの低減にもつながり、配線の自由度が高いため特性的にも優位性があるという。
最大720×610mmの基板に対応
TSMCは300mmウエハーでInFOを適用するが、他メーカーはより一層コストダウンを狙い、より大きなサイズでFOWLPの適用を進めている。増地氏は、「サイズはメーカーによって異なるが、液晶基板の搬送技術を用いて製造しようと取り組んでいる」と語る。
DFD6310は、最大720×610mmの大判パッケージ基板に対応する。加工方法は従来と同じだが、切断するステージ部分を大きくしたという。従来品は330mm角までの対応だったが、720×610mmまでに対応したのは「当社が初だろう」(増地氏)とする。
展示では、独自開発の「UNITRAY」移載ユニットと、スタンドアロン型の「JEDEC」トレイ移載機をDFD6310に接続し、実際の生産イメージに基づいたコンセプト展示が披露される。移載機はダイシングソーに横付けされることが一般的だが、パッケージサイズによってはUPH(Unit Per Hour)にギャップが生じてしまうといった課題があった。今回、UNITRAY移載ユニットとJEDECトレイ移載機を独自に開発したことで、さまざまな生産ラインを顧客の要望に応じてフレキシブルに構築可能とした。
同製品は2017年4月にテストカットの受け付けが行われ、同年夏に販売開始予定だ。
“実機展示”にこだわりを
ディスコ広報の岩瀬大介氏によると、SEMICON Japanは製品のアピールだけでなく、社内のノウハウを蓄積する場にもなっているという。海外拠点で働く人々はこの時期に日本へ集まり、SEMICON Japanのブースを見て各国での展示会の方向性を決めるそうだ。そのため、「社内における展示会の見本市になっている」(岩瀬氏)と語る。
また、1年目の社員が初めて装置の立ち上げを行ったり、物流関係の方が訪れて新製品を出荷するためのノウハウを共有したりといった取り組みも進めている。
岩瀬氏は「国内の半導体メーカーが少なくなる中、これだけ大きな展示をするべきかどうかは、社内でも必ず議論になっている。しかし、当社は、リーマンショック後でも規模を落とさずに出展を続けてきた。業界を盛り上げるためにも、視点を広げた取り組みを行いつつ、今後も“実機展示”にこだわりをもって出展したい」と語った。
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