ウエハー型のプラズマ評価 耐熱性も400℃に向上:変色度合いから視覚的に判別
サクラクレパスは2016年12月12日、プラズマの処理効果を可視化する評価ツールとして、ウエハー型の製品を発表した。半導体製造装置稼働率の向上、装置間の機差解消に貢献する。
半導体製造装置の稼働率向上へ
サクラクレパスは2016年12月12日、プラズマの処理効果を可視化する評価ツールとして「プラズマインジケータ PLAZMARK“ウエハ型”セラミックタイプ」を発売すると発表した。プラズマ処理の評価には、光学測定やプローブによる電気的評価方法が一般的だが、どちらも分布を評価するのに課題がある。同社が発表した製品は、変色度合いからプラズマ処理効果を視覚的に判別することが可能。これにより、装置の状態を容易に評価できるため、半導体製造装置稼働率の向上、装置間の機差解消に貢献する。
![](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/1612/13/ts161213_NEDO02.jpg)
酸素プラズマに対する変色性と加熱前後の変化。プラズマ処理前は白色膜だったインジケーターが、酸素プラズマで処理することで黄色に変化していることが分かる。また、400℃で加熱しても変色しない (クリックで拡大) 出典:NEDO
同製品はまずLEDやMEMS、タイミングデバイスなどの電子デバイスの半導体製造装置向けに、基板サイズ4、6インチ型のサンプルを2017年1月から出荷を開始する。サンプルのフィードバックから変色性能の調整を行い、2017年4月に量産開始予定だ。
独自配合の色材も開発
同社は、2014年から面内分布評価用にPLAZMARKシリーズを展開してきた。従来品は基材がフィルムで、基板表面や装置内に自由に貼り付けられる形状だった。しかし、形状が長方形のため「ウエハープロセス用としては複数貼りつける必要があり、評価がしにくいところもあった」(担当者)と語る。今回、ウエハー型にしたことで、ユーザーが普段活用しているウエハーと同じように置くだけで評価が可能になる。
無機材料を主成分とした独自配合の色材も新たに開発。この無機色材をシリコン基板またはサファイア基板の表面に形成する形だ。これにより、プラズマに対する高い変色性能を実現しているだけでなく、耐熱性を従来の200℃から400℃まで向上している。「発表当時からニーズが高かった高温プロセスへの対応も実現した」(担当者)とする。
また、大塚電子のプラズマインジケーター評価システムを使うことで、面内の色差を測定してマッピングデータを得ることが可能。色差を目視だけでなく数値管理できる。
なお、PLAZMARKシリーズは、2016年12月14〜16日に東京ビッグサイトで開催される「SEMICON Japan 2016」に実物が展示される予定である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「地図はここに」 40周年SEMICONが魅せる世界
マイクロエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日/東京ビッグサイト)は、2016年の開催で40周年を迎える。主催者であるSEMIジャパンの代表を務める中村修氏に、その見どころなどについて聞いた。銅配線プロセスとメタルハードマスクで新技術
アルバックは、「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日/東京ビッグサイト)で、マルチチャンバー型スパッタリング装置として、メインプラットフォーム向け「ENTRON-EX W300」や、小規模量産ライン向け「MLX-3000N」などを紹介する。新ブランドを訴求するTEL、鍵は「緑色の正方形」
東京エレクトロン(TEL)は、「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日/東京ビッグサイト)で、2015年に新しくしたブランドロゴのイメージ定着を図る展示を行う。FOWLP向け大型パッケージ基板対応のダイシングソー
ディスコは、「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日/東京ビッグサイト)で、TSMCの「InFO」で注目を集めるFOWLP(Fan-Out Wafer Level Package)の生産ニーズに応えるべく、大判パッケージ基板に対応したダイシングソー「DFD6310」などを展示する。半導体を応用した分野へと活動を拡大するSEMI
SEMIジャパンは2016年12月1日、SEMIの「戦略的パートナーシップ」における取り組みについて説明した。また、開催が迫る「SEMICON Japan 2016」についても言及した。2016年7〜9月ウエハー出荷、過去最高を連続更新
SEMIは2016年11月、2016年第3四半期(7〜9月)の世界シリコンウエハー出荷面積が、27億3000万平方インチとなったと発表した。過去最高を記録した前四半期(同年4〜6月)の出荷実績を0.9%上回り、2四半期連続で過去最高を更新した。