IoTにはプログラム可能なネットワークが必要:ノキア「Connected Future」(1/2 ページ)
ノキアは2016年12月13日にカスタマー向けプライベートイベント「Connected Future」を開催し、5G(第5世代)関連の技術などを紹介した。基調講演でノキアは次世代ネットワークアーキテクチャのコンセプトである「Future X」を紹介し、IoT(モノのインターネット)時代では、全てがプログラム可能な柔軟なアーキテクチャが必要になると主張した。
新しいネットワークアーキテクチャ「Future X」
Nokiaの日本法人であるノキアソリューションズ&ネットワークス(以下、ノキア)は2016年12月13日、都内でプライベートイベント「Connected Future」を開催し、Nokiaの事業戦略や次世代ネットワークに向けた最新技術などを紹介した。
2016年はNokiaにとって大きな動きがあった年だった。フランスの大手通信機器メーカーであるAlcatel-Lucent(アルカテル・ルーセント)の買収が完了したのだ。これによりNokiaの2015年度(2015年1〜12月)の売上高は266億ユーロとなり、研究開発費は45億ユーロの規模となった。シェアはLTE市場で第1位、固定ブロードバンドで2位となっている。
Connected Futureの基調講演に登壇したノキアの社長を務めるジェジュン・ウォン氏は、次世代における主要なトレンドとして6つを挙げた。
- どこでもインターネットにつながるためのネットワーク、コンピューティング、ストレージ
- 兆単位のモノがインターネットにつながるIoT(モノのインターネット)
- 機械や装置などでもタスクを自動化する拡張インテリジェンス
- VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を用いた、人とマシンの相互連携
- シェアリングエコノミーやデジタル通貨の普及
- 3Dプリンタで移植臓器を作るなど、さまざまな分野における業務のデジタル化
ウォン氏は、これら6つのトレンドにより、新しい技術へのニーズが増え、新たな事業機会を生み出すと述べた。そして、これらのトレンドが将来的に、日常生活において“当たり前”となるには、新しいネットワークインフラが必要になるだろうと付け加えた。
そした新しいネットワークアーキテクチャとしてノキアが提唱しているのが「Future X」だ。同じく基調講演に登壇したNokiaのリサーチ&テクノロジー部門のバイスプレジデントを務めるラウリ・オクサネン氏は、「100億の人々、1兆個のモノを低コストのネットワークにつながなくてはならない時代がくる。全てをプログラミング可能なネットワークアーキテクチャにする必要がある」と強調する。
オクサネン氏は、Future Xにおいて鍵となる要素をいくつか説明した。まずは、「大規模アクセス」である。これは、ビームフォーミング技術の活用やミリ波帯の使用など、いわゆる5G(第5世代移動通信)で実現しようとしている要素だ。
「集中型エッジクラウド」は、ユーザーの近くにクラウドを配置することである。現在の中央集中型のクラウドだと、クラウドがユーザーから離れているため低遅延の通信を実現しにくい。クラウドをユーザーの近くに置く「エッジクラウド」であれば、遅延を抑えられる。「スマート・ネットワーク・ファブリック」は、クラウド同士をつなぐ、動的に再構成可能なIP/光ファブリックだ。オクサネン氏は、光イーサネットスイッチなどにより、柔軟な光通信が可能になるだろうと述べている。
さらに、コアアーキテクチャを共通にすることで、セルラー、Wi-Fiなどさまざまな形態のアクセスに柔軟に対応できる「ユニバーサル・アダプティブ・コア」や、プログラム可能なネットワークOSも、Future Xに必要だと述べた。
オクサネン氏は、「こうした1つ1つのネットワーク技術の進化が、人々の生活の質を向上させていく」と語った。
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