SiCを約300μm厚に、ワイヤ放電でスライス:SEMICON Japan 2016レポート
三菱電機は、「SEMICON Japan 2016」において、直径4インチのSiC(炭化ケイ素)素材を、ウエハー厚み約300μmでスライス加工する「マルチワイヤ放電スライス技術」を紹介した。
スライス加工専用電源を開発
三菱電機は、「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日/東京ビッグサイト)において、直径4インチのSiC(炭化ケイ素)素材を、ウエハー厚み約300μmでスライス加工する「マルチワイヤ放電スライス技術」の加工サンプル品を展示した。この技術を用いた放電加工機は、2017年度の製品化を目指している。
SiCは、半導体材料として一般的に用いられているシリコン(Si)に比べて、絶縁破壊電界強度が10倍、バンドギャップが3倍という特性がある。こうしたことから、次世代のパワーデバイス用材料として注目を集めている。
三菱電機は産業機器などの用途で培ったワイヤ放電加工技術を、高硬度材料であるSiCのスライス加工に適用した。開発した放電スライス装置は、直径が0.1mmの細線ワイヤ電極を用い、4インチ径のSiC素材を、同時に最大40枚スライス加工できる装置である。
ワイヤ電極線の間隔を450μmピッチに周回することで、ウエハー厚み約300μmのスライス加工を可能とした。加工溝幅は約150μm。ウエハーの厚みばらつきは14μmという。同社はこれまで、ワイヤ電極間の間隔が600μmピッチのスライス加工技術を紹介してきた。「SiCの素材特性に合わせた専用の高周波電源を開発した。これにより、加工の速度を速めるとともに、450μmピッチで連続加工を可能とした」(説明員)と話す。
今後は、加工溝幅をさらに狭くすることで、SiC素材をより有効活用できるようにするとともに、ウエハーの6インチ化などにも対応できる加工技術を開発する予定である。
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